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2013/4/24

企業情報

Siemens AG―Eurostar向け高速鉄道、納期遅れの見通し―

この記事の要約

電機大手の独Siemens(ミュンヘン)は欧州鉄道運営会社のEurostarから受注した高速鉄道10編成の納期を遵守できない見通しだ。各国鉄道当局からの認可取得に手間取っているためで、引当金の計上が避けられなくなっている […]

電機大手の独Siemens(ミュンヘン)は欧州鉄道運営会社のEurostarから受注した高速鉄道10編成の納期を遵守できない見通しだ。各国鉄道当局からの認可取得に手間取っているためで、引当金の計上が避けられなくなっている。鉄道事業を統括するローラント・ブッシュ取締役が『南ドイツ新聞』に明らかにした。

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Eurostarは仏国鉄SNCFとベルギー国鉄SNCB、英London Continental Railways(LCR)の3社が運営する合弁会社で、1994年からロンドとパリ/ブリュッセル間で高速鉄道を運行している。仏SNCFが55%を出資する関係で長年、仏重電大手AlstomがTGVをベースに開発した「Eurostar」車両を利用してきた。だが、2009年12月にユーロトンネル内で故障事故が相次いだことを受け、発注先の変更を検討。Alstomの競合であるSiemensに白羽の矢を立てた。成約額は約7億ユーロに上る。

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Siemensが受注した車両は走行する計4カ国の鉄道当局から認可を受けなければならない。ブッシュ取締役によると、それぞれの国の安全規格が異なるという事情もあり、認可を受けるのに当初予想よりも大幅に時間がかかる見通しだ。

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同社はドイツ鉄道(DB)向けの高速鉄道納入計画でも新たな納期遅れが発生する見通しだ。SiemensはICE3をベースに開発した動力分散方式の高速鉄道車両「Velaro D」16編成を2008年12月に受注。当初は納期を11年末としていたが、技術的な問題の発生を理由にすでに何度も延期している。

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