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2013/7/3

経済産業情報

サハラ砂漠からの送電計画で「仲間割れ」

この記事の要約

サハラ砂漠や中東で発電した再生可能エネルギー電力の一部を欧州に送電する「デザーテック」プロジェクトが深刻な危機に陥っている。事業戦略をめぐる経営陣内の対立が修復できないレベルまで激化。プロジェクトの管理機関Deserte […]

サハラ砂漠や中東で発電した再生可能エネルギー電力の一部を欧州に送電する「デザーテック」プロジェクトが深刻な危機に陥っている。事業戦略をめぐる経営陣内の対立が修復できないレベルまで激化。プロジェクトの管理機関Desertec Foundationは1日、プロジェクト推進役機関のDesertec Industial Initiative(DII)から撤退する方針を明らかにした。

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デザーテックはサハラ砂漠などにソーラー・風力発電所を建設し電力を欧州に供給するプロジェクトとして2009年にスタート。Desertec Foundationは総合的な管理を行い、実務はDIIが請け負っている。

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DIIの経営陣内では、サハラ砂漠からの送電を当面見合わせるべきか、計画通りに実施すべきかをめぐりし烈な争いが繰り広げられている。これがメディア報道を通して外部に知られるようになり、デザーテック構想の信用自体が揺らぎかねない事態に発展したため、Desertec FoundationはDIIから撤退。また、DIIに対し「デザーテック」の語を用いることを禁止した。対立問題が解決されれば、将来的にDIIと再び協働する可能性があるとしている。

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DII内の対立の背景には欧州の電力事業がデザーテックの立ち上げ当時と異なっていることがある。当時は欧州での電力確保が重要な課題となっていたが、現在は欧州の再可エネ発電量が需要を上回ることも多く、サハラ砂漠などから欧州にあえて送電する必要性が低下している。

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DIIには当初、計35の団体・企業が参加していた。すでにシーメンスやボッシュは撤退しており、現在残るのは18団体・企業に過ぎない。撤退した企業からは「デザーテックは基本的に死んでいる」との声も聞かれる。

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