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2013/7/24

ゲシェフトフューラーの豆知識

フルタイムからパート勤務に変更、有給休暇の取り扱いは?

この記事の要約

フルタイムの被用者がパートタイム勤務に切り替えた場合、有給休暇の日数をどのように取り扱ったらよいのだろうか。この問題をめぐる係争で欧州司法裁判所(ECJ)が6月に決定(訴訟番号:C‑415/12)を下したので、ここで取り […]

フルタイムの被用者がパートタイム勤務に切り替えた場合、有給休暇の日数をどのように取り扱ったらよいのだろうか。この問題をめぐる係争で欧州司法裁判所(ECJ)が6月に決定(訴訟番号:C‑415/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判は独ニーザーダクセン(NS)州の職員としてフルタイムで勤務していた女性が起こしたもの。同職員は2010年に妊娠・出産し、11年2月17日から12月21日にかけて育児休暇を取得した。このため、有給休暇の未消化日数が計29日に達していた。

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11年12月22日からは勤務日数を従来の週5日から同3日に減らして仕事を再開した。これに伴い雇用主のNS州は同職員の有給休暇日数をフルタイム勤務時の年29日から17日へと削減。11年の有給日数についても計29日が未消化となっていたにもかかわらず17日しか認めなかった。原告は11年の有給日数を削減したことを不当として提訴した。

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NS州は最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が1998年に下した決定(訴訟番号:9 AZR 314/97)に基づいて11年の有給日数を削減した。一方、第1審のニーンブルク労働裁判所はこのルールが欧州連合(EU)法に抵触している可能性があるとしてECJの判断を仰いだ。

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ECJの裁判官は6月13日の決定で、フルタイムの被用者がパートタイム勤務に切り替えた場合、勤務時間の減少比率に応じて有給休暇の日数を削減することはできるが、すでに取得した有給休暇の請求権(原告の場合は11年の29日)については削減できないと指摘。ドイツの削減ルールはEU法に違反するとの判断を示した。

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