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2013/9/4

経済産業情報

DBの信号・分岐制御システム老朽化

この記事の要約

マインツ中央駅で信号扱所のスタッフ不足からダイヤが大きく乱れたことをきっかけにドイツ鉄道(DB)の信号・分岐システムの「古さ」がクローズアップされている。全国3,392カ所の信号扱い所のうち電子制御式は12%に過ぎず、ボ […]

マインツ中央駅で信号扱所のスタッフ不足からダイヤが大きく乱れたことをきっかけにドイツ鉄道(DB)の信号・分岐システムの「古さ」がクローズアップされている。全国3,392カ所の信号扱い所のうち電子制御式は12%に過ぎず、ボタン式、電動式、機械式など20世紀初頭に登場した旧式のシステムがいまだに使われている。制御装置の平均経過年数は45.4年で、機械式に至っては71.4年に上る。8月29日付『ハンデルスブラット』が報じた。

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タッチパネルでの直観的な操作になじんだ若いDB職員にとって、ボタンやスイッチをいくつも切り替えたり、レバーを引いてレールのポイントを機械的に切り替える作業はいかにも時代遅れの感があり、信号取扱所の仕事に関心を持つ若手は少ない。また、実際に使っている制御装置や線路の配置が駅によって異なるため個別の訓練が必要で、人手が足りなくなった駅にスタッフを派遣して急場をしのぐこともできない。

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業界関係者によると、コンピューター制御システムを導入することで機械式信号扱所なら15カ所、電動式でも8カ所の作業を1カ所で行えるようになる。DBでは今後数年で大量の定年退職者が出る一方、信号取扱所での勤務を希望する若手がいないため、旧式設備を使っている駅では深刻な人材不足が避けられない見通しだ。

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ただ、電子制御式に切り替えるためには巨額の投資が必要で、ミュンヘン・パージング駅でのシステム切り替え工事では1億4,000万ユーロ、中規模のツェレ駅でも7,500万ユーロを要した。

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