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2013/9/11

経済産業情報

原発停止の損賠額が大幅目減り見通し、電力価格下落響く

この記事の要約

政府の脱原発政策で莫大な経済的損失を被ったとして電力大手が起こした損害賠償請求訴訟で、電力会社側が勝訴しても賠償額は大幅に減額される公算が高まっている。提訴当時に比べ電力取引価格が下落しているうえ、電力会社は提訴当時、電 […]

政府の脱原発政策で莫大な経済的損失を被ったとして電力大手が起こした損害賠償請求訴訟で、電力会社側が勝訴しても賠償額は大幅に減額される公算が高まっている。提訴当時に比べ電力取引価格が下落しているうえ、電力会社は提訴当時、電力価格が“将来上昇する”との前提に立って損害額を試算していたためだ。再生可能エネルギー電力の優遇と電力価格下落のダブルパンチで原発の採算は悪化しており、電力会社の状況は厳しい。2日付『ハンデルスブラット(HB)』紙が報じた。

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メディア報道によると、政府の原発廃止前倒し政策を受けて老朽原発の稼働停止を余儀なくされたバッテンフォール、エーオン、RWEの3社が起こした訴訟の賠償請求額は計150億~200億ユーロに上る。

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エーオンが2011年11月に違憲訴訟を起こした当時の電力取引価格は1メガワット当たり55ユーロだった。現在は同36ユーロ以下に下落している。また、同社の訴状を作成した弁護士事務所は原発稼働停止で電力需給がひっ迫し取引価格が上昇するとの見通しに基づいてコストを計算。11年~20年の電力価格は平均58ユーロ、21~35年は同72ユーロで推移するとの予測を立てたうえで、原発が停止されずに35年まで稼働を続ければ発電できる量を踏まえ、損害額をはじき出したという。エネルギー業界に詳しい弁護士はHB紙に対し、「仮に賠償請求が認められたとしても、裁判所は実際の市況に基づいて大幅に減額する」との見方を示した。

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