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2013/9/18

経済産業情報

オーストリアの自動車産業が地盤沈下

この記事の要約

自動車・自動車部品産業(以下:自動車産業)の立地としてオーストリアの魅力に陰りが出始めている。フラウンホーファー・オーストリア・リサーチなどは4日発表した研究報告書のなかで、同国の自動車産業は技術革新、グローバル化、新興 […]

自動車・自動車部品産業(以下:自動車産業)の立地としてオーストリアの魅力に陰りが出始めている。フラウンホーファー・オーストリア・リサーチなどは4日発表した研究報告書のなかで、同国の自動車産業は技術革新、グローバル化、新興国の台頭といった業界の急速な変化に対応しきれていないと指摘。また、賃金の高さや柔軟性に欠ける労働時間などもネックとなり、隣国ドイツに比べ競争力は低下しているとして、このまま手を打たなければ業界の地盤沈下は避けられないと警鐘を鳴らした。

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墺フラウンホーファーとウイーン工大が共同作成した同報告書によると、オーストリアは自動車産業の立地としてドイツと直接的な競合関係にある。両国を比べると、オーストリアは金融・経済危機が発生する2008年までは生産一単位当に要する人件費(ULC)がドイツより低いなど優位にあったが、その後は形勢が逆転。2000~11年の比較では、ドイツが18%増と緩やかな伸びにとどまったのに対し、オーストリアは同40%の増加となり、労働コスト上のメリットがなくなった。

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また、オーストリアの自動車産業は企業数ベースでは13.7%に過ぎない外資系企業が売上高の85%を占めるうえ、業界売上に占める輸出の割合も9割と高く、2重の意味で外国への依存度が非常に高い。しかし、同国の最大の輸出先であるドイツの企業がコスト上のメリットがなくなったことを理由に墺企業への発注を減らしているため、大きな打撃になっている。

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立地の魅力が揺らいでいることを背景に、同産業に対する外国直接投資(FDI)は落ち込んでいる。2011年のオーストリア経済全体のFDIが2000年比で3倍以上に拡大したのに対し、自動車産業は2010・11年ともに2000年の水準を割り込んだ。

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