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2013/10/9

経済産業情報

中国人の幹部登用、独企業は消極的

この記事の要約

販売・サービス市場として中国の重要性が高まるっているにもかかわらず、中国に進出する独企業の多くは現地社員の幹部登用をためらっているようだ。ベルリンのエコノミスト養成機関EWFの調査によると、DAX(ドイツ株価指数)採用銘 […]

販売・サービス市場として中国の重要性が高まるっているにもかかわらず、中国に進出する独企業の多くは現地社員の幹部登用をためらっているようだ。ベルリンのエコノミスト養成機関EWFの調査によると、DAX(ドイツ株価指数)採用銘柄30社のうち、取締役・監査役などの経営幹部に外国人を登用する企業は14%に過ぎず、アジア系に至っては1社もない。言語・習慣など文化的な違いばかりでなく、影響力の低下を恐れて登用に抵抗するドイツ人役員の姿勢も大きな障壁になっているという。4日付『南ドイツ新聞(SZ)』が報じた。

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幹部人材現地化の問題に直面する好例としてSZ紙はフォルクスワーゲン(VW)の例を挙げた。

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同社は30年前、欧州自動車メーカーの先陣を切って中国に進出。2012年の現地販売台数は281万台で、グループ全体(907万台)の3割を占めた。18年には400万台に増えると見込む。

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VWは中国市場の重要性高まりを受けて昨年、中国事業担当取締役のポストを新設し、商用車事業の統括者だったヨアヒム・ハイツマン取締役を就任させた。ただ、現地社員に有力候補がいなかったわけではない。05年にVW中国のマーケティング・販売責任者に抜擢されたSoh Weiming(中国語表記:苏伟铭)氏は、VWの中国パートナーであるFAW、SAICに強力な人脈を持ち、極めて有能な人材と評価されている。

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だが、それが理由でドイツ人幹部から警戒されていたようだ。同氏を招聘したVWの元取締役は「VWが親中派だったのは90年代までの話。現在の幹部で中国に親近感を持っている人は一人もいない」と話す。ハイツマン取締役は自動車の専門家、Soh氏は販売のエキスパートで、良好な関係を築いていれば互いのノウハウを補完し合うことも可能だが、実際には「両者は互いに不信の目でしか見ていない」という。

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