欧州経済の中心地ドイツに特化した
最新の経済・産業ニュース・企業情報をお届け!

2013/10/16

総合 - ドイツ経済ニュース

再可エネ電力助成金負担が来年も大幅上昇、1kWh当たり6.24ユーロに

この記事の要約

ドイツの高圧送電網事業4社は15日、再生可能エネルギー電力の助成金負担が来年は消費電力1キロワット時(kWh)当たり6.24ユーロとなり、今年の5.277ユーロから18%拡大するとの見通しを発表した。同助成金負担は昨年も […]

ドイツの高圧送電網事業4社は15日、再生可能エネルギー電力の助成金負担が来年は消費電力1キロワット時(kWh)当たり6.24ユーロとなり、今年の5.277ユーロから18%拡大するとの見通しを発表した。同助成金負担は昨年も大幅に上昇し家計や企業経営の大きな負担となっており、助成制度の抜本改正を求める声が強まっている。

\

4社は再生可能エネルギー法(EEG)の規定に基づき、毎年10月15日に翌年の再可エネ電力助成金負担見通しを発表する。助成額は再可エネ発電量と助成金を負担する電力消費者の数、エネルギー取引所における電力価格動向をもとに算出する。

\

それによると、助成金向け収入総額は来年236億ユーロとなる。そのうち約22億ユーロは今年の収入不足の穴埋めに用いられる。

\

年間消費電力3,500kWhの標準世帯では助成金負担額が250ユーロ強(付加価値税込み)となり、今年に比べ約40ユーロ上昇する。

\

現行の助成制度では再可エネ発電で生産された電力を20年間、固定価格で買い取る方式が採用されている。買い取り価格と市場価格の価格差が助成金(Marktpraemie)に当たり、最終的に電力料金に上乗せされて、消費者や企業などの需要家が負担している。

\

助成金負担を増加させる要因としては、◇再可エネ発電量の拡大◇エネルギー取引所での取引価格(市場価格)の低下◇助成負担を免除される企業の増加――がある。買い取り価格が長期間、保証され事業者は確実に利益を確保できるため、再可エネ発電量は増加し続けている。

\

また、発電量が天候に大きく左右される再可エネ電力が増加すればするほど、エネルギー取引所での取引価格は低下する。背景には晴天時や強風時に電力供給量が急増し、供給過多に陥るという事情がある。

\

再可エネ助成金の免除は本来、厳しい国際競争にさらされるエネルギー集約型企業を念頭に導入された。だが、中道右派の第2次メルケル政権は免除基準を大幅に緩和。これにより内需型企業も免除を受けるようになり、その分、消費者と免除を受けられない企業の負担が増大している。

\

現行制度はこのように重大な欠陥を抱えており、独産業連盟(BDI)のマルクス・ケルバー専務理事は「EEG助成金負担は現在すでに1日当たり5,600万ユーロに達し、そのうち3,000万ユーロを経済界が負担している」と指摘。制度は市民生活と経済活動に大きなしわ寄せをもたらしているとして、速やかかつ抜本的に改正するよう次期政権に要求した。

\