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2013/10/9

ゲシェフトフューラーの豆知識

私用電話中のけが、労災は適用されるか

この記事の要約

勤務時間中にけがをした場合、原則として労災が適用される。では私用電話中にけがをしても適用対象となるのだろうか。この問題をめぐる係争でダルムシュタット社会裁判所が9月に判決(訴訟番号:L 3 U 33/11)を下したので、 […]

勤務時間中にけがをした場合、原則として労災が適用される。では私用電話中にけがをしても適用対象となるのだろうか。この問題をめぐる係争でダルムシュタット社会裁判所が9月に判決(訴訟番号:L 3 U 33/11)を下したので、ここで取り上げてみる。

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裁判は倉庫内の机で製品のチェック業務を行う労働者が労災機関を相手取って起こしたもの。同労働者は勤務時間中に妻と電話しようとしたが、倉庫内がうるさく電話の接続も悪かったため、屋外の車両積載用スロープまで行って用を済ませた。通話時間は2~3分だった。倉庫に戻ろうとしたところ足が引っかかり十字靱帯が断裂したため、労災の適用を申請した。

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これに対し労災機関は、勤務中であっても私用電話を行っていた場合は労災の適用対象にならないとして却下。原告はこれを不服として提訴した。

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原告は1、2審で共に敗訴。2審のダルムシュタット社会裁は判決理由で、仕事の中断時間と持ち場から離れた距離がともに極めて短ければ労災は適用されるが、原告の場合は通話時間が2~3分と長く、持ち場から離れた距離も20メートル以上あったと指摘。労裁は適用されないとの判断を示した。最高裁への上告は認めなかった。

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