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2013/10/23

経済産業情報

「現行VW法は判決履行」=欧州司法裁

この記事の要約

欧州司法裁判所(ECJ)から欧州連合(EU)法違反の認定を受けてドイツが改正したフォルクスワーゲン(VW)法はECJ判決を不十分にしか履行していないとして欧州委員会が再提訴していた係争でECJは22日、現行法は欧州司法裁 […]

欧州司法裁判所(ECJ)から欧州連合(EU)法違反の認定を受けてドイツが改正したフォルクスワーゲン(VW)法はECJ判決を不十分にしか履行していないとして欧州委員会が再提訴していた係争でECJは22日、現行法は欧州司法裁の判決を履行しているとして欧州委の訴えを退ける判決を下した。5月の法務官見解を踏襲した格好。今回の判決により、ドイツは欧州委が求めていた再度の法改正と制裁金支払いを免れた。

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VW法は独自動車大手のフォルクスワーゲンを外資による買収から保護する目的で1960年に導入された法律で、欧州司法裁は2007年10月、EU法違反を認定した。具体的には(1)各株主の議決権を出資比率に関係なく最大20%に制限する(2)重要決議の阻止に必要な出資比率が20%と、株式会社法に定める25%より低い(3)連邦(国)とニーダーザクセン州はVW株を保有するかぎり、VWの監査役会にそれぞれ2人の役員を派遣できる――という特殊ルールが資本移動の自由を定めたEU法に違反すると言い渡した。

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ドイツ政府はこれを受け、EU法違反が認定された3点のうち、(1)と(3)の規定を廃止する方向で改正VW法案を作成。08年11月の連邦議会(下院)で成立させた。(2)を残したのは、欧州司法裁がEU法違反を認定したのはこれら3ルールをセットで適用することだとの立場をとっているためだ。

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欧州委はこれに対し、3つの規定をすべて廃止することをドイツ政府に求めたが、拒否されたため、12年2月に再提訴。重要決議の阻止に必要な出資比率を20%とするルールを株主の過半数の意思で定めるのであれば問題はないが、法律で制定することは株主の権利を不当に制限するものでEU法違反だと訴えた。

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ECJは今回、07年の判決で欧州法違反と認定したのは(1)と(2)の規定をセットで適用することだと指摘。現行VW法では(1)の規定が廃止しており、両規定をセットで適用することはできなくなっているとして、ドイツは判決を履行したとの判断を示した。

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