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2014/3/19

ゲシェフトフューラーの豆知識

夜勤手当の差別化で最高裁判決

この記事の要約

もっぱら夜間勤務に従事する社員の夜勤手当を、勤務シフトの関係で夜間勤務に従事する社員の夜勤手当よりも高く設定することは不当な差別に当たるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年11月に判決 […]

もっぱら夜間勤務に従事する社員の夜勤手当を、勤務シフトの関係で夜間勤務に従事する社員の夜勤手当よりも高く設定することは不当な差別に当たるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が昨年11月に判決(訴訟番号:AZR 736/12)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は物流センターに勤務する社員が雇用主を相手取って起こしたもの。同センターでは早番が6時~14時45分、遅番が14時45分~23時30分の2交代制を採用しており、従業員は1週間おきにシフトを交換していた。前の週に早番であれば次の週は遅番になるというルールだ。

業界の労使協定では20時~6時に勤務した被用者に賃金の50%に当たる夜勤手当を支給することが取り決められていた。ただ、シフト勤務の一環でこの時間帯に勤務する場合は、夜勤手当が同20%に制限されており、被告の物流センターでも割増額が20%となっていた。

原告は同じ夜間勤務であるにもかかわらず、夜勤専門の被用者とシフト勤務の被用者とで手当てに違いがあるのは基本法(憲法)3条1項に定められた「法の下の平等」に反すると批判。また、また夜勤専門よりもシフト勤務の方が負担が大きいと主張し、夜勤手当50%の支払いを求めて提訴した。

1審と2審は原告の訴えを棄却。最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、労使が自主的協定を結ぶこと(労使協定の自由=Tarifautonomie=)を保障した基本法9条3項の規定を指摘。夜間手当の差別化はこの権利の枠内に収まり妥当だとの判断を示した。また、夜勤専門の被用者はシフト勤務の一環で夜間労働を行う被用者よりも健康を損なうリスクが高いことも指摘した。