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2014/5/21

経済産業情報

ウクライナ問題が貿易保険に影、代金未回収で政府負担膨らむ恐れ

この記事の要約

ウクライナ問題を受けて欧州連合(EU)と米が対ロ制裁を強化した場合、すでにロシアに輸出した製品の代金が回収できなくなるリスクが懸念されている。機械メーカーなど大口輸出業者の多くは連邦政府による輸出保証を受けており、これら […]

ウクライナ問題を受けて欧州連合(EU)と米が対ロ制裁を強化した場合、すでにロシアに輸出した製品の代金が回収できなくなるリスクが懸念されている。機械メーカーなど大口輸出業者の多くは連邦政府による輸出保証を受けており、これらの保証案件すべてで輸出代金が回収できなくなると、政府負担は莫大な額に上る。13日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。

ドイツの2013年の対ロ輸出額は360億ユーロ(独連邦統計局による)で、輸出先国としては上から11番目にとどまった。一方、政府が同年にヘルメス貿易保険を通して付保したロシア向け輸出信用保険の規模は23億8,000万ユーロで、トルコ向け(24億7,000万ユーロ)に次いで2番目に多かった。13年以前の案件と合わせると、引き受け期間内のロシア向け保証額は計86億ユーロに達する。

ただ、輸出業者が代金の一部を回収済みであっても、保証枠自体は代金回収が完了してから初めて抹消されるため、代金未回収の実際のリスクは86億ユーロよりかなり小さいという。ヘルメス貿易保険の関係者はウクライナ情勢の緊迫化に憂慮を示しながらも、「ロシア企業は債務をきちんと履行することで知られており」未回収額が急増する事態にはならないとの見方を示した。