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2014/5/28

ゲシェフトフューラーの豆知識

組合員にのみ特別手当支給は認められるか

この記事の要約

雇用主は被用者を平等に取り扱わなければならない。これは平等原則から導き出されるルールであり、民法の規定などにも裏付けられている。では、労働組合の組合員にのみ特別手当を支給することはこのルールに抵触するのであろうか。この問 […]

雇用主は被用者を平等に取り扱わなければならない。これは平等原則から導き出されるルールであり、民法の規定などにも裏付けられている。では、労働組合の組合員にのみ特別手当を支給することはこのルールに抵触するのであろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が21日に判決を下したので、ここで取り上げてみる(訴訟番号:4 AZR 50/13、4 AZR 120/13など)。

裁判は労働組合に所属しない従業員8人が雇用主である自動車大手のオペルを相手取って起こしたもの。同社は2010年、経営再建に向けた労組との交渉で、金属労組IGメタルの要求を呑み、同労組の組合員にのみ特別手当を支給する協定を結んだ。再建策に対する労組の同意を取り付けるために必要な措置だと判断したのである。

原告はこれが労働法上の平等原則に反するとして提訴した。

1審と2審は原告の訴えを棄却。最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由で裁判官は、経営再建に向けた労使協定では平等原則の適用が義務づけられていないとの判断を示した。

ただし、組合員にのみ支給する手当の額については制限がある。BAGは2009年に下した判決のなかで、手当が高額であるがゆえに非組合員に対する組合加入圧力が著しく高まることはあってはならないとの判断を示している。