投資大手のKKRは19日、傘下の独キッチン用品メーカーWMF(ガイスリンゲン)の上場廃止計画を発表した。株式公開買い付け(TOB)を行ったうえで、第2位株主のFibaと共同で持ち株会社を設立。Fibaと合わせて90%以上の資本を獲得し、スクイズアウト(他の株主からの強制的な株式の買い上げ)を実施する。上場に伴う業務上の手間をなくし、経営のスピードアップを図る考えだ。同持ち株会社の経営権はKKRが取得する。
KKRは現在、議決権付きの普通株を71.56%、優先株を6.09%保有。Fibaは普通株25.07%を保持する。
KKRは優先株を対象にTOBを実施する。買い取り価格は過去3カ月間の加重平均株価を約11%上回る53ユーロで、総額は最大2億3,100万ユーロに上る。スクイズアウトを実施するためには総資本の90%以上を保持する必要があるため、同割合以上の確保をTOBの成立条件としている。TOBに成功しなかった場合、KKRとFibaは持ち株会社を設立しない。
KKRは2012年にWMFを買収した。その際、Fibaは同買収を批判し、阻止を図ろうとした。このため、両社の持ち株会社設立は一種の「平和協定」とみなされている。