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2014/6/25

ゲシェフトフューラーの豆知識

軽度の肥満は障害にあらず

この記事の要約

軽度の肥満は一般平等待遇法(AGG)で規定する障害に当たらず、採用を拒否されても損害賠償や慰謝料を請求する権利は発生しない――。ダルムシュタット労働裁判所は12日に下した判決(訴訟番号:6 Ca 22/13)でそんな判断 […]

軽度の肥満は一般平等待遇法(AGG)で規定する障害に当たらず、採用を拒否されても損害賠償や慰謝料を請求する権利は発生しない――。ダルムシュタット労働裁判所は12日に下した判決(訴訟番号:6 Ca 22/13)でそんな判断を示した。

裁判は患者の支援活動を行う企業の採用募集に応募した女性が同社を相手取って起こしたもの。同女性は体型がやや太めであったため、同社の副社長は一次面接の終了後に手紙を出し、どうした事情で肥満になったのかを質問した。

同女性は二次面接を無断欠席し、不採用となった。これを受けて、自分が採用されなかったのは肥満が理由だと主張。肥満はAGGで定める障害に当たり、AGGに基づく損害賠償と慰謝料の支払いを請求する訴訟を起こした。

被告企業は裁判で、不採用としたのは面接を無断欠席したためだとして、原告の訴えに反論した。

1審のダルムシュタット労裁は被告の主張を支持する判決を下した。判決理由で裁判官は、原告の肥満は軽度で、AGGに定める障害には当たらないと指摘。原告にはAGGに基づく損害賠償と慰謝料の請求権がないとの判断を示した。

また、選考過程で応募者の外見を判断材料とすることを、雇用主は禁じられていないとの判断も示した。患者に健康な生活を送るよう助言する被告企業が応募者の外見(肥満かどうかなど)を選考材料にすることは認められるとしている。