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2014/7/9

経済産業情報

公営の公益会社が経営破たん、全国で初めて

この記事の要約

チューリンゲン州中部ゲーラ市(人口10万人)の市営公益事業者シュタットヴェルケ・ゲーラ(Stadtwerke Gera)はこのほど、ゲーラ区裁判所に会社更生手続きの適用を申請した。自治体系公益企業の経営破たんは全国で初め […]

チューリンゲン州中部ゲーラ市(人口10万人)の市営公益事業者シュタットヴェルケ・ゲーラ(Stadtwerke Gera)はこのほど、ゲーラ区裁判所に会社更生手続きの適用を申請した。自治体系公益企業の経営破たんは全国で初めて。

会社更生手続きの申請対象は持ち株会社のシュタットヴェルケ・ゲーラ(職員25名)で、電力・ガス(EGG)、交通(GVB)、住宅(GWB)、廃棄物処理(GUD)などの事業会社は影響を受けない。サービスはこれまで通り継続する。

シュタットヴェルケ・ゲーラが経営破たんした背景には、電力価格の下落と、連邦政府の再生可能エネルギー優先政策に伴う火力・原子力発電の採算悪化があるようだ。EGGのエネルギーミックスは原子力0.9%、石炭2.5%、天然ガス41.2%、その他化石燃料13.4%、再生可能エネルギーが42%と、再可エネの割合が全国平均(24.3%)より高いものの、ガス発電の比率も同平均(3.2%)を大幅に上回る。また、排出権価格が下落したため、石炭発電所を稼働させた方がコストが低いにもかかわらず、石炭発電の割合が低いことも採算悪化に追い打ちをかけた。『南ドイツ新聞』によると、シュタットヴェルケ・ゲーラはガス発電所の採算悪化で1,800万ユーロの減損計上が避けられないもようだ。

また、多くの自治体が頭を抱えている共通の問題として、公共交通事業の不振がある。GVBも例外でなく、運賃収入でコストをまかないきれないため、シュタットヴェルケ・ゲーラは毎年、赤字を補てんしなければならなかった。GVBは親会社シュタットヴェルケ・ゲーラの経営破たんにより資金注入が途絶えるため、連鎖倒産が危惧されている。