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2014/7/16

総合 - ドイツ経済ニュース

再可エネ電力助成策で政府が欧州委と合意

この記事の要約

欧州連合(EU)欧州委員会のホアキン・アルムニア副委員長(競争政策担当)は9日、ドイツの再生可能エネルギー法(EEG)をめぐる同国政府との対立が解消されたと発表した。EEGの現行法と改正案がEU競争法に一部抵触すると批判 […]

欧州連合(EU)欧州委員会のホアキン・アルムニア副委員長(競争政策担当)は9日、ドイツの再生可能エネルギー法(EEG)をめぐる同国政府との対立が解消されたと発表した。EEGの現行法と改正案がEU競争法に一部抵触すると批判した欧州委に独政府が歩み寄った格好。今回の合意により、EEG改正案は8月1日付で問題なく施行されるめどがたった。

EEGは再生可能エネルギーの普及促進を狙った法律で、同エネルギーへの助成金給付ルールなどが定められている。同法の効果で国内の電力供給に占める再可エネ電力の割合は2000年の6.6%から現在はおよそ25%にまで拡大したものの、助成金総額が年240億ユーロに膨らみ、助成負担軽減措置を受けられない企業・消費者の負担が限界に達している。

欧州委は現行EEGの助成負担軽減ルールが公正な競争を阻害している疑いがあるとして昨年12月に調査手続きを開始。独政府との間では今回、現行法に基づいて13年、14年を対象に承認した助成負担軽減措置を、負担軽減基準が厳格化されたEEG改正案に基づいて同政府が再審査することを取り決めた。この結果、軽減措置を受けた企業2,000社のうち350社が助成負担分担金の追加支払いを命じられる見通しだ。追加支払い額は計3,000万ユーロ。2,000社が2年間に受けた軽減総額(約100億ユーロ)の0.3%にとどまり、経済界はほとんど影響を受けない。

欧州委は独政府に対し、EU加盟国から輸入した再可エネ電力を同分担金の課金対象から外すことも要求していた。ドイツが加盟国から輸入した再可エネ電力に対し助成金を支給しないにもかかわらず、助成分担金を課してきたためで、そうした政策は域内での関税徴収を禁止したEUルールに抵触するとの立場だ。

独政府・与党はこの問題では当初、要求受け入れを拒否したままEEG改正法案を連邦議会(下院)で可決させたが、水面下で交渉を続けていたもようだ。今回の合意では、17年以降、年200メガワット(MW)を上限に輸入再可エネ電力も助成を受けられるようにすることを取り決めた。これは政府が助成対象とする再可エネ電力(年6,000MW)の3%強に当たる規模。また、3%強という数値は国内で現在、消費する再可エネ電力に占める輸入電力の割合にほぼ相当する。