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2015/7/22

企業情報

ゲトラグ―同業マグナに身売り―

この記事の要約

自動車部品大手の独ゲトラグ(ウンターグルッペンバッハ)は16日、カナダの同業マグナが同社を完全買収すると発表した。マグナはゲトラグの全資本をオーナー家から譲り受ける。取引の成立には独禁当局の承認が必要だが、両社は製品分野 […]

自動車部品大手の独ゲトラグ(ウンターグルッペンバッハ)は16日、カナダの同業マグナが同社を完全買収すると発表した。マグナはゲトラグの全資本をオーナー家から譲り受ける。取引の成立には独禁当局の承認が必要だが、両社は製品分野で重複がないため、年内に認可が下りる見通し。

マグナはゲトラクのオーナーであるハーゲンマイヤー家に17億5,000万ユーロを支払うほか、ゲトラクの債務7億ユーロを引き受ける。買収総額は24億5,000万ユーロとなる。

ゲトラグは変速機の有力メーカーで、有段自動変速機の一種であるデュアルクラッチトランスミッション(DCT)の世界最大手。2014年売上高は16億9,500万ユーロ(国際財務報告基準=IFRS=ベース。ドイツ商法典=HGB=ベースの売上高は合弁会社のものが全額含まれるため、32億6,000万ユーロとなる)。

マグナは売上高363億ドル(14年)の巨大サプライヤーで、独ボッシュ、コンチネンタル、ZFフリードリヒスハーフェン、およびデンソーとともに世界5大大手の一角をなす。サプライヤー業界では近年、電気自動車、自動運転車などの新しい技術分野への投資が膨らんでいるうえ、顧客の自動車メーカーがグローバルレベルの部品供給を要求。事業規模の小さいサプライヤーは対応が難しくなっている。市場環境が急速に悪化すると経営を根元からゆすぶられるリスクもあることから、ゲトラクはマグナへの身売りを決めた。

マグナは自動車の省エネ化に必要で、大きな成長が見込める変速機事業を強化するため、ゲトラグの買収を決めた。