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2015/7/22

経済産業情報

パイロットの精神チェック強化などをEU作業部会が勧告

この記事の要約

今年3月にフランス南東部で発生した独ジャーマンウイングス機の墜落事故を受けて発足した欧州連合(EU)の作業部会は17日、航空会社に対し、パイロットの精神面のチェック体制を強化することや、薬物およびアルコール検査の実施を義 […]

今年3月にフランス南東部で発生した独ジャーマンウイングス機の墜落事故を受けて発足した欧州連合(EU)の作業部会は17日、航空会社に対し、パイロットの精神面のチェック体制を強化することや、薬物およびアルコール検査の実施を義務づけることなどを盛り込んだ勧告をまとめた。ドイツ機の事故では副操縦士が精神疾患を隠して乗務を続けたことが墜落につながったとみられることから、専門機関での受診記録をデータベース化して管理体制を整備するとともに、健康や精神面で問題を抱えるパイロットが解雇を恐れて病気を隠すといった事態を防ぐため、サポート体制の強化が急務と指摘している。

報告書によると、航空会社はパイロットが訓練中または乗務を開始する前の段階で精神面の検査を受けさせるほか、抜き打ちで薬物およびアルコール検査の実施を義務づけられる。域内ではすべてのパイロットを対象に、定期的な精神面のチェックを実施すべきだとの意見も出ているが、EU高官は実現が困難との見解を示している。

受診記録のデータベース化に関しては、当面は受診した専門機関と日付、乗務可能かどうかの診断結果だけが記録される。一般医が「勤務不可」の診断書を出したジャーマンウイングス機のようなケースでは情報がデータベースに反映されないが、この点について欧州航空安全局(EASA)首脳は、たとえば診断基準が緩い国で受診する「医療ツーリズム」を防ぐことができると説明している。一方、医師の守秘義務を緩和して航空会社に診断結果が伝わるようにすべきかどうかに関しては判断を保留し、加盟国の間で慎重に検討するよう勧告している。

このほか操縦室内に常時2人以上配置するよう航空会社に義務付ける一方、テロ対策の一環として導入された操縦室のドアの強固なロック・システムに関しては、「セキュリティと安全な運航のバランスを取ることが重要」と指摘し、引き続き検討を進めるとしている。