社用車の代わりに社用自転車を社員に貸し与える企業が増えている。2012年の所得税法改正で社用自転車が社用車と同等の取り扱いを受けられるようになったことが背景にあり、自転車リース会社リースラートでは顧客企業の数が1,000社を突破。IT大手SAPも顧客となっている。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じた。
SAPでは従来、社員に社用車ないしドイツ鉄道(DB)の運賃が1年間無料となる「バーンカード100」が支給されていた。今年4月からはさらに、自転車も対象に追加。社員は最大1万ユーロの自転車を借り受けることができるようになった。社用自転車の利用者はすでに950人に達している。
社用自転車を借り受けるためには◇社員がリースラントと契約する自転車販売店(3,000社以上)に注文◇社員が注文した自転車をリースラントがSAPに特別条件で賃貸する――という手順を踏む。
当該社員はリース料を3年間、給与からの天引きの形で支払うほか、社用車と同じくカタログ価格の1%を毎月、納税することになる。それにもかかわらず、社員は自ら自転車を購入した場合に比べて支出を20~40%抑制できる。
2008年の小国勢調査によると、ドイツの被用者の半数は通勤距離が10キロ未満と短い。このため社用自転車市場は将来性が高いとみられている。