シーメンス―シンガポールを東南アジアのデジタル中核拠点に―

電機大手の独シーメンス(ミュンヘン)は11日、シンガポールにデジタル製品・サービスの総合的な開発拠点「デジタル化ハブ」を開設した。シンガポール政府が推進する「スマート国家」プロジェクトを支援するとともに、そこで得られるノウハウを東南アジア市場の開拓につなげていく考えだ。

スマート国家は狭い国土のなかで人々が質の高い生活を送れるようにすることを目的としたプロジェクトで、リー・シェンロン首相が2014年末に提唱した。交通、環境、生産性、高齢化など重点分野の課題をモノのインターネット(IoT)を活用して解決していく。

シーメンスのデジタル化ハブでは同社の産業用オープンIoTオペレーションシステム「マインドスフィア」をベースに、顧客・提携先企業や大学と共同でアプリ、デジタルサービスなどを開発していく。当初は専門人材60人体制でスタート、22年には300人体制へと拡大する。

シーメンスはデジタル化ハブの設立と同時に、南洋理工大学、電力供給会社SPグループ、情報通信技術の有力企業STエレクトロニクスの3者とそれぞれ協業契約を締結した。南洋理工大学とはデータを活用して新たな価値を生み出すデータ駆動型の新技術を開発する。例えば自動運転車をベースとするモビリティソリューション開発や、環境に配慮した「グリーンビルディング」のパフォーマンスを最適化するためのデータ分析を共同で行う。

SPグループとは送電網の監視やメインテナンスを最適化するためのプラットフォームを構築。STエレクトロニクスとは交通インフラ向けのアプリケーションを共同開発して販売する。

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