日本電産は2月上旬、独メーカー2社の買収を発表した。同社は事業拡大にドイツメーカーの買収を積極活用する姿勢を示しており、その一環で、プレス機用周辺機器製造のズィステーメ・シュトイエルンゲン(Systeme+Steuerungen=SYS)を完全買収したほか、大型精密減速機製造のデッシュ・アントリープステヒニク(DESCH Antriebstechnik)の持ち分70%を取得して傘下に収めることで合意した。 両買収とも取引金額は明らかにしていない。
日本電産は子会社の日本電産シンポを通してプレス機事業を展開している。同子会社は北米最大のプレス機メーカーであるミンスターを2012年に買収。15年にはスペインのアリサも傘下に収め、アジア・米国・欧州の世界3極でプレス機の製造・販売・サービス体制を構築した。
日本電産シンポはプレス機の周辺機器の取り込みにも注力しており、世界最高速で高精度のサーボ送り装置(フィーダー)を製造するヴィコムを17年に買収。北米とアジアを中心とする顧客基盤を引き継いだ。
SYSは高速高精度送り装置などプレス周辺機器の製造・販売と中古プレス機の修理改造(レトロフィット)を手がけている。独南部のグラーフェナウに本社を置く。従業員数は約120人で、昨年の売上高は1,700万ユーロ(見込み)に上った。
日本電産はSYSを買収することで、欧州にフィーダー、高速高精度プレス機販売の橋頭堡を構築し、プレス機事業基盤をこれまで以上に強化する考えだ。
日本電産シンポは減速機事業も手がけている。同社製品はこれまで小型精密減速機が中心だった。デッシュは大型精密減速機の有力メーカーであることから、日本電産は同社を傘下に収めることで総合高精度減速機メーカーへと脱皮する。
デッシュはサーボプレス機に用いる減速機で高い品質とブランド力を持つことから、日本電産シンポのプレス機事業で、サーボプレス機と減速機のモジュール販売・提案を顧客に行うことも視野に入れている。
デッシュは独北西部のアルンスベルクに本社を置く企業で、従業員数は約400人。昨年の売上高は9,290万ユーロに上った。