ドイツ金融監督庁(BaFin)は22日、モバイルバンキングサービスを手がける新興企業N26に対し、資金洗浄・テロ資金対策の改善を命じたと発表した。ブラックマネー対策が不十分であることが明らかになったため。同社は対策強化方針を打ち出した。
N26は2013年設立のフィンテックで、15年1月に振替口座サービスを開始した。顧客はスマホアプリの操作だけで同社に振替口座を開設できる。口座管理手数料や引き出し料金が一切かからないことから、顧客数は急速に増えている
だが、こうした手軽さは資金洗浄などの温床となった。N26は事業の拡大に注力する一方で、金融機関に義務づけられている犯罪対策がおろそかになっていた。
BaFinはこれを問題視。資金洗浄法(GwG)の規定に基づき、◇疑わしい動きのある口座をITシステムが特定したにも関わらず、調査が手付かずになっている案件を速やかに処理する◇GwGに基づいて実施した犯罪対策を文書化する◇身元の疑わしい口座保有者を対象に認証手続きをやり直す◇犯罪対策を十分に行えるよう人的・技術的・組織的な措置を取る――の4点を速やかに実施するよう命じた。
N26に対しては顧客が苦情の連絡を入れようとしても連絡がつかないといった批判も出ている。成長を重視するあまり、売り上げや利益につながらない業務を軽視してきたことが浮き彫りになっており、事業の再点検が緊急の課題として浮上してきた格好だ。ゲオルく・ハウアー社長は顧客サービスについて『フランクフルター・アルゲマイネ』紙のインタビューで、24時間対応の窓口を設置することを明らかにした。顧客が苦情などの連絡を入れた場合は30秒以内に担当者にアクセスできるようにするとしている。