ドイツ機械工業連盟(VDMA)は11日の声明で、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために中国が導入している入国規制は断トツで煩雑であり官僚的だと批判した。中国の顧客に納入した機械や設備をスムーズに稼働させたり修理するのに必要不可欠な技術者の派遣が極めて難しい状況にあると指摘。独メーカーだけでなく、現地企業も大きなしわ寄せを受けているとしている。
中国は昨年12月、入国ビザの発給規制を大幅に強化した。ドイツから従業員を派遣するためには、現地の顧客企業ないし子会社が当局の招聘状を取得しなければならなくなっている。
8月30日からはさらに、新型コロナの陰性証明書をフランクフルト空港などの出発空港で取得するか、陰性証明の認証をドイツにある中国の在外公館で受けることが要求されるようになった。陰性証明なしに入国すると、14日間の隔離を義務付けられる。隔離施設の状況は極めて劣悪なことがあるという。
VDAMは、人口当たりのコロナ感染者数が極めて少ないドイツからの入国者に中国以外の国は不要な制限を課していないと指摘。具体例として◇米国は緊急の用で派遣された技術者に隔離を免除するルールを最近、導入した◇韓国は到着後の検査で陰性が証明されれば隔離を義務付けない――を挙げた。
そのうえで、ドイツが中国からの入国者に隔離を義務付けていないにもかかわらず、中国は義務付けていることは、相互主義の原則に反すると批判した。VDMA貿易部会のアジア担当者は「ドイツの機械業界はそのほかの分野でも残念ながらこうしたことを繰り返し経験している」と当てこすった。