鉄道を利用しても新型コロナウイルスの感染リスクは高まらないとする調査結果を、ドイツ鉄道(DB)が9日、発表した。ベルトルト・フーバー取締役(旅客事業担当)は「我々は今後も注意しなければならないが、鉄道旅行を恐れる理由はない」と明言した。
DBはベルリンのシャリテ大学病院と共同で6月末から7月初旬にかけて社員を対象に調査を実施した。対象となったのは乗務員と機関士、整備・保守担当の職員1,100人弱。このうち感染が確認されたのは整備・保守担当の職員1人だけだった。また、新型コロナの抗体保有率をみると、整備・保守担当者で3%、機関士で2.5%に達したのに対し、乗務員は1.3%にとどまった。
DBは車内を頻繁に移動する乗務員の感染リスクを同じ座席にとどまり続ける乗客と同列に扱うことはできないとしながらも、マスク着用義務の導入や頻繁な清掃・消毒といった感染予防に向けた措置が奏功しているとの見方を示した。
今後は空気中を浮遊するエアロゾルの車内分布状況をドイツ航空宇宙センター(DLR)と共同で調査する。エアコンについては、車内の空気を7分で全面的に入れ替えるなど感染防止に寄与しているというのがDBの見方だ。
新型コロナの感染リスクを恐れ、公共交通機関の利用者は減少している。DBでは現在、長距離鉄道の乗車率が平均40%で、1年前の60%を大きく下回っている。突然の運休など予期せぬ事態が起きない限り、乗車率が100%を超えることはないという。