世界初の炭素中立航空貨物サービス、ルフトハンザがDBと共同で正規商品化

炭素中立を実現したルフトハンザ・カーゴの貨物機が11月29日、フランクフルト空港から上海空港に向けて飛び立った。二酸化炭素(CO2)の排出量を差し引きでゼロにする航空貨物の輸送サービスは世界で初めて。ドイツ鉄道(DB)の物流子会社DBシェンカーと共同で実現した。

シーメンス・ヘルシニアーズ製の医療機器と交換部品を搭載したLH8406便が午前8時過ぎに離陸した。機材の「ボーイング777F」は「持続可能な航空機燃料(SAF)」を搭載。復路でもSAFを利用する。

SAFは現在、主に植物油などのバイオマスを原料に生産されている。将来的には水を再生可能エネルギー電力で分解してできた水素を、CO2と合成して製造する技術が商業化されると見込まれている。

今回の輸送では既存の化石系燃料にSAFを混合してフライトが行われた。既存の航空機エンジンでSAFを使用する場合は同燃料の許容混合比率が最大50%に制限されているためだ。

そうした制約のなかで炭素中立を実現するため、ルフトハンザとDBは777Fの両空港往復に本来必要となるSAF、174トンをフランクフルト空港に輸送。そのうちの一部を777Fに給油したうえで、残りのSAFを空港の燃料タンクに混入した。他の航空機にSAFの混じった燃料を給油することで、上海往復便のCO2の排出量を計算上、実質ゼロに抑える。

SAFの製造、加工、輸送で発生したCO2については植林プロジェクトを通して相殺する。

両社は炭素中立貨物便サービスを正規の商品として2021年夏季シーズンから企業に販売する計画だ。料金は明らかにしていない。DBシェンカーのトルステン・マインケ取締役(空輸・海運担当)は『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、SAFの価格が化石燃料に比べ3~7倍高いことを明らかにした。

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