ドイツ連邦統計局が20日発表した5月の生産者物価指数は前年同月比33.6%増となり、統計を開始した1949年以降で最大の上昇率を6カ月連続で更新した。サプライチェーンの混乱とロシアのウクライナ侵攻がこれまでに引き続き反映された格好。上げ幅は前月の33.5%から0.1ポイント拡大した。
全体を最も強く押し上げたのはエネルギーで、上げ幅は87.1%に上った。ロシアへの依存度が高い天然ガスで148.1%(前月154.8%)を記録。同発電所向けは241.2%(307.0%)、産業向けは210.7%(259.9%)、再販事業者向けは168.3%(170.0%)に達した。
電力は90.4%(87.7%)で、再販事業者向けは165.2%(157.3%)、特別契約顧客向けは83.2%(85.6%)だった。
石油製品は55.8%(53.9%)で、灯油が96.0%(102.1%)、自動車燃料が49.4%(46.6%)となっている。エネルギーを除いた生産者物価の上昇率は16.5%(16.3%)だった。
中間財の上げ幅も25.1%(26.0%)と大きかった。中間財全体を最も強く押し上げたのは金属で、38.1%(43.3%)を記録。銑鉄・鉄鋼・鉄合金は51.8%(59.8%)、非鉄金属は24.8%(32.8%)、アルミニウムは42.0%(58.5%)だった。金属以外では肥料・窒素化合物で110.9%(111.7%)、工業ガスで68.8%(66.4%)、木製梱包材で67.4%(75.0%)、紙で52.3%(52.7%)、飼料で48.7%(52.8%)、穀物粉で44.8%(39.1%)、針葉樹材で41.9%(52.3%)と大きかった。
投資財は7.1%(6.7%)上昇し、1975年9月以来の大きな上げ幅となった。構成比重の大きい機械が8.3%(7.6%)、自動車・自動車部品が4.9%(4.9%)高くなった。上昇率は金属骨組みで26.1%(26.1%)、コンピューター部品・付属品で18.9%(19.5%)、空調機器/冷蔵・冷凍庫で15.7%(25.2%)と特に大きかった。
耐久消費財は上げ幅が前月の8.3%から9.4%に拡大した。家具は11.9%(10.5%)に上った。
非耐久消費財の上げ幅も前月の13.2%から14.7%に膨らんだ。食料品は同19.2%(17.3%)で、バターは80.2%(70.9%)、非加工の植物油は68.4%(70.0%)、牛肉は42.9%(41.6%)、コーヒーは33.6%(30.8%)、豚肉は24.1%(22.1%)に上った。
生産者物価指数は前月比では1.6%増となり、上げ幅は2カ月連続で縮小した。各部門の上昇率はエネルギーが2.5%、中間財が1.5%、非耐久消費財が1.3%、耐久消費財が1.1%、投資財が0.5%となっている。エネルギーを除いた物価上昇率は1.2%(3.0%)だった。