化学大手の独BASFは7月27日、2022年12月期の業績見通しを引き上げた。上半期決算が好調だったためで、売上高を従来予測の「740億~770億ユーロ」から「860億~890億ユーロ」へと上方修正。営業利益(EBIT、特別費を除く)も「66億~72億ユーロ」から「68億~72億ユーロ」へと引き上げた。
22年4-6月期の売上高は前年同期比16.3%増の229億7,400万ユーロと大幅に伸びた。原料・エネルギーコストの上昇分を顧客に転嫁したためで、表面技術(触媒、コーティング剤)部門が7.6%の減収となった以外はすべて増収を確保した。同部門は半導体不足と中国のロックダインで生産調整が行われている自動車業界からの触媒需要が減ったことから売り上げが落ち込んだ。
営業利益は0.7%減の23億3,900万ユーロとほぼ横ばいを保った。農業ソリューション部門で売り上げが大きく伸び、コスト増加分を吸収できたことが大きい。栄養・ケア製品部門も好調だった。表面技術とケミカル(石油化学、中間体)、マテリアル(機能性材料、モノマー)の3部門は減益となった。
株主帰属の純利益は20億9,000万ユーロで、26.3%増加した。ロシアで天然ガス採掘事業を展開する連結対象外の子会社ヴィンタースハル・デーエーアーの業績が好調だったことから、配当収入が増加。利益が押し上げられた。
天然ガスの供給不足対策は進展しているもようだ。マルティン・ブルーダーミュラー社長はテレビ記者会見で、政府が配給制を導入した場合でもルートヴィヒスハーフェン本社工場で稼働率を引き下げながら操業を維持できるとの見方を示した。4月末の時点では、配給制が実施されれば稼働を停止せざるを得ないとしていた。
国内で2番目に大きいシュヴァルツハイデ工場については、電力と蒸気を100%石油で作れるとしている。欧州域外の工場は欧州ガス不足の影響を受けない見通しだ。
BASFが昨年、欧州で使用した天然ガスの量は48テラワット時(TWh)で、ルートヴィヒスハーフェン本社工場はそのうち37TWhを占めた。ガスの60%を発電と蒸気製造に投入。残り40%は原料として使用している。