物価高騰で6割の世帯が貯蓄不能に

物価の高騰で貯蓄できない消費者が急速に増えているもようだ。独貯蓄銀行・振替銀行連合会(DSGV)のヘルムート・シュレヴァイス会長は日曜版『ヴェルト』紙に、そうした世帯の割合が近い将来、1年前の15%から最大60%に拡大するとの見通しを明らかにした。

コロナ禍で消費の機会が少なかったことから、消費者の多くはこれまで貯蓄を増やすことができた。インフレで購買力が低下している現在は貯蓄を取り崩す人が多い。振替口座の預金残高がマイナスとなり、高率の借り越し金利支払いを余儀なくされるケースも増えているもようだ。

9月以降はインフレ率が再び上昇する可能性が高い。自動車燃料税減税など市民負担を軽減するための時限措置が8月末で終了するうえ、高騰している天然ガス調達価格の迅速な川下転嫁が10月から始まるためだ。独連邦銀行(中銀)のヨアヒム・ナーゲル総裁は、今秋には前年同月比のインフレ率が2ケタ台に達する可能性もあるとの見方を示した。

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