欧米自動車大手ステランティスの独子会社オペルが中国市場進出計画を凍結した。ロイター通信の問い合わせに同社が明らかにしたもので、利益の確保が難しいためと説明している。地政学リスクなどを踏まえた措置との見方もある。
オペルは昨年、中国進出方針を打ち出した。米ゼネラル・モーターズ(GM)の子会社だった2017年半ばまで、欧州域外への進出を強く制限され、業績不振の一因となっていた。仏PSA(現ステランティス)の傘下入り後は新たな市場の開拓に注力。世界最大の中国市場も射程に収めるようになっていた。
オペルは同市場への参入を見合わせる理由を、販売台数が多くないと十分な効果を得られないためと説明した。比較的少ない販売量で高い利益が得られる市場への進出は行うとしている。
一方、経済紙『ハンデルスブラット』は社内情報として、中国と米国・欧州連合(EU)の地政学的なリスクの高まりが背景にあると報じた。台湾問題、ナショナリズムの強まり、ゼロコロナ政策が中国市場参入の障害になっているという。