ドイツ連邦統計局は16日、2022年の貿易収支は797億ユーロの黒字となったものの、黒字幅は前年の1,753億ユーロを54.5%下回ったと発表した。天然ガスや石油などエネルギー価格の高騰で輸入が膨らんだことが背景にある。黒字幅は2000年(591億ユーロ)以来22年ぶりの低水準だ。
最大の輸入品目はデータ処理装置/電気・光学製品で、額は1,478億ユーロ(13.9%増)に上った。2位は化学品で1,373億ユーロ(44.6%増)。原油・天然ガスは79.1%増の1,311億ユーロと大幅に増え、3位につけた。
輸出額では自動車・自動車部品が最も大きく、2,444億ユーロ(16.0%増)に上った。これに機械が2,084億ユーロ(6.1%増)、化学品が1,627億ユーロ(17.8%増)で続く。
貿易黒字1位の品目は自動車・自動車部品で、1,135億ユーロに達した。2位は機械(1,053億ユーロ)、3位は医薬品(390億ユーロ)となっている。
貿易高を国別でみると、中国は20.9%増の2,979億ユーロとなり、7年連続で最大の相手国となった。輸入高が33.6%増の1,911億ユーロと大きく伸びたのに対し、輸出高が3.1%増の1,068億ユーロと小幅な伸びにとどまったことから、対中国の貿易赤字は統計を開始した1950年以降で最大の843億ユーロに達した。リントナー財務相はツイッターに、「危険な展開だ。ドイツの対中国貿易赤字は2022年に2倍以上に膨らんだ」と投稿した。政府は中国への経済的な依存度を引き下げたいとの思惑を持っている。
貿易相手国2位は米国で、貿易高は27.5%増の2,478億ユーロに拡大した。対米の輸出高は27.9%増の1,561億ユーロ、輸入高は26.8%増917億ユーロで、貿易黒字は前年の497億ユーロから643億ユーロへと29.4%膨らんだ。
英国との貿易高は1,110億ユーロとなり、前年を14.1%上回った。ただ、対英貿易の重要性は同国の欧州連合(EU)離脱決定以降、低下傾向にあり、貿易高ランキングは前年の10位から11位に低下した。EU離脱国民投票(16年)翌年の17年時点では5位につけていた。