エネルギー大手の独ユニパーは16日、アラブ首長国連邦(UAE)の原油加工・船舶用燃料販売事業(ユニパー・エナジーDMCC)を、現地のコモディティ取引会社モントフォルト・グループとドバイ首長のプライベートオフィスからなるコンソーシアムに売却することで合意したと発表した。ユニパーは昨年12月、国有化承認の条件として様々な事業や保有株を2026年末までに売却することを欧州連合(EU)の欧州委員会から命じられており、これを受けて今回、契約を締結した。取引金額は非公開。今後数カ月で取引が完了すると見込んでいる。
ユニパー・エナジーDMCCは硫黄分を0.5%以下に抑制することを定めた「IMO 2020」規制に合致した船舶燃料をバンカー重油(船舶燃料)の世界3大市場の1つであるフジャイラ(UAE東北部の港湾都市)市場向けに製造・販売する企業。フジャイラ港に原油加工施設、ドバイに販売事務所を持つ。
ユニパーはロシア産天然ガスの供給削減・停止を受け極めて割高なスポット市場での代替調達を余儀なくされたことから資金繰りが急速に悪化。昨年末に国有化された。その際に欧州委から命じられた事業などの売却を推し進めている。
これに絡んでオランダと英国を結ぶ「BBLパイプライン」の保有株20%を、スペイン同業のエナガスに売却することを1月中旬に発表していたが、エナガスは16日、同株の取得を断念したことを明らかにした。BBLに出資する他の株主が先買権を行使したため。BBLにはオランダのガスパイプライン会社ガスニーとベルギー同業のフリュクシスがそれぞれ60%、20%出資している。