コロナ規制緩和後もカード決済増加

独銀行業界が共同運営するカード決済サービス会社オイロ・カルテンジステーメ(EURO Kartensysteme)は14日、銀行が発行するデビットカード「ジロカード(旧ECカルテ)」の利用件数が昨年は前年比13.4%増の67億件強となり、前年に引き続き過去最高を更新したと発表した。コロナ規制の緩和で現金払いが増えカード決済は減るとの予想もあったが、拡大傾向は継続。カード決済総額も12.2%増えて2,840億ユーロに達した。

ドイツではコロナ禍の発生後、小売店が現金払いを避け可能な限りカードないしスマートフォンでの決済を顧客に要請するようになった。大手スーパーなどでは要請のアナウンスが頻繁に行われた。また、暗証番号を入力せずに決済できる金額が従来の25ユーロから50ユーロへと引き上げられた。

新型コロナウイルスの感染防止規制は昨年春にほぼ撤回され、小売店や飲食店ではマスク着用義務がなくなった。これを受け、感染リスクへの市民の警戒心は徐々に弱まっていったことから、他の欧州諸国に比べカードやスマホ決済の普及度が低い同国で現金支払いが再び増えることは十分に考えられるシナリオだった。

連邦銀行(中銀)によると、決済に占める現金の割合は長期的に低下傾向にあり、2010年台初頭には82%に上っていたが、17年には74%に低下。コロナ禍1年目の2020年は60%、翌21年には58%まで下がった。22年については現時点でデータがない。

小売市場調査機関EHIは『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に、20年と21年は現金払いの割合が急激に低下したのに対し、22年は緩やかに低下するという長期トレンドに戻ったとの見方を示した。

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