Ifo経済研究所が2月22日発表した同月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は91.1となり、前月を1.0ポイント上回った。数値の上昇は4カ月連続。昨年夏から秋にかけてのエネルギー価格高騰で懸念されていた景気の大幅悪化が政府支援策などの効果で回避されていることが大きい。クレメンス・フュスト所長は「ドイツ経済は弱含み局面から徐々に抜け出しつつある」と述べた。
今後6カ月の見通しを示す期待指数が2.1ポイント増の88.5となり、全体を強く押し上げた。同指数の改善は5カ月連続。直近の底である昨年9月に比べると13.2ポイント高い水準だ。現状判断を示す指数は0.2ポイント下がり93.9となった。
景況感(DI)を部門別でみると、製造業は1.5ポイントとなり、昨年5月以来の高水準に達した。期待指数が大幅に上昇したためで、現状判断はやや悪化した。
サービス業は1.3ポイントとなり、5カ月連続で改善した。現状判断と期待指数がともに上昇している。景況感は特に飲食・宿泊、旅行業界で良好だ。
流通業はマイナス10.6ポイントと低水準にとどまったものの、前月を4.8ポイント上回った。期待指数が大きく改善。現状判断も上昇した。フュスト氏は小売も卸売も昨年の最悪期を脱したとしている。
建設業の景況感は2.1ポイント増のマイナス19.6ポイントへとやや上昇した。現状判断と期待指数がともに上昇している。ただ、期待指数が極めて低いことから、4部門のなかで景況感が最も悪い。
輸出期待指数5カ月ぶりに悪化
一方、Ifoが23日に発表した2月の独製造業輸出期待指数(DI)は3.8ポイントとなり、前月の4.1ポイントからやや低下した。同指数の悪化は5カ月ぶり。フュスト氏は「世界需要の弱含みはドイツの輸出の希望に水を差している」との見方を示した。
Ifoは月例の企業景況感調査の一環としてメーカーおよそ2,300社に今後3カ月の輸出見通しを質問している。メーカーは「増える」「横ばい」「減る」のどれかを選んで回答。「増える」の回答比率から「減る」の回答比率を引いた数に季節調整を加味したものが輸出期待指数となる。同指数がプラスの領域にあることは、輸出増回答が輸出減回答を上回っていることを意味する。
2月は前月に同指数が底打ちした化学で横ばいとなり、改善が続かなかった。数値はマイナスの領域にとどまっている。金属では悲観的な見方が大幅に減ったものの、化学と同様に輸出減を見込む企業が依然として多い。一方、家具は昨年5月以降で初めて、輸出増を予想する企業の割合が輸出減を上回った。機械と自動車でも指数はプラスの領域にある。