フォルクスワーゲン―米ブランド「スカウト」の工場建設へ―

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は3日の監査役会で、米乗用車ブランド「スカウト」の工場をサウスカロライナ州コロンビアの周辺に建設することを決定した。米国で需要が大きいピックアップトラックとSUVの電気自動車(BEV)を生産し、VWグループの低迷する現地販売に弾みをつける考えだ。グループの乗用車ブランド数は現在の9から10へと増える。

VWが新設した米子会社スカウト・モーターズが1,600エーカー(約650ヘクタール)の工場用地を確保した。建築面積は1,100エーカー(約450ヘクタール)。今年半ばに着工し、2026年末から生産を開始する計画だ。投資額は20億ドルで、年産能力は20万台を超える。4,000人超の雇用を見込む。

サウスカロライナ州は自動車産業が盛んで、独BMWがスパータンバーグ、独メルセデスベンツとスウェーデンのボルボがチャールストンに工場を持つ。

VWはピックアップトラック「アマロック」を10~20年に独ハノーバー工場で生産したものの、米国市場には投入しなかった。外国製のピックアップに米国が25%の高関税率を適用しているためだ。現地生産することで価格競争上のデメリットを解消する。

スカウトは米インターナショナル・ハーベスター(米商用車大手ナビスター・インターナショナルの前身企業)が1961~80年に製造していたオフロード車。VWはナビスターを21年に買収した際、スカウトのブランド権も取得した。純粋な米国ブランド車を復活させることで、VWグループの同国市場シェアを30年までに現在の4%から10%に拡大する目標だ。

3日の監査役会では、北米に電池工場を建設する計画も話し合われたが、建設地の決定は行われなかった。

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