BASF―中国事業強化方針を再確認―

化学大手の独BASFは4月27日の株主総会で、中国事業を大幅に強化するこれまでの方針を改めて確認した。株主の間からは台湾進攻など地政学リスクを懸念する声が上がったが、経営陣は世界の化学業界売上の約50%を占める中国が同社の売り上げでは15%未満にとどまっていることを指摘。エネルギー価格高騰などで低迷する欧州事業を相殺するためにも同国は必要不可欠だとの認識を示した。リスクについては包括的な分析を行ったとしている。

BASFは基礎化学品から川下までの幅広い製品を手がける総合生産施設(フェアブント拠点)を広東省に建設する計画。投資額は100億ユーロと巨大だ。ロシアのウクライナ進攻に伴い石油・天然ガス子会社ヴィンタースハル・デーエーアーは現地資産をはく奪されたことから、株主の間には中国でも同様の事態が起こり得るとの懸念がある。マルティン・ブルーダーミュラー社長はこれを踏まえ、「中国向けの製品は中国で生産する」方針を表明した。

同日発表した2023年1-3月期(第1四半期)決算の売上高は前年同期比13.4%減の199億9,100万ユーロへと落ち込んだ。需要減少を受けて生産量を減らしたほか、出荷価格が低下したことが響いた。営業利益(EBIT、特別項目を除く)も31.5%減の19億3,100万ユーロと振るわなかった。

純利益は27.9%増の15億6,200万ユーロへと拡大した。比較対象の22年1-3月期はガスパイプライン「ノルドストリーム2(NS2)」向けの融資をヴィンタースハルが全額減損処理し、水準が大幅に押し下げられており、今年1-3月期はその反動で増加した。

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