ドイツ企業が投資の軸足を国内から国外に移しつつあることが、独商工会議所連合会(DIHK)が3日発表した会員企業アンケート調査結果で分かった。フォルカー・トライヤー貿易部長は、最大の原因は国内のコスト高だと指摘。生産の国外移管が忍び寄っているとの見方を示した。
国外事業を展開する5,000社を対象に実施した同調査によると、米国投資の拡大を計画する企業は44%に上った。電気自動車など炭素中立に寄与する分野の企業を助成する米インフレ抑制法が強力な吸引力を発揮している。中東・アフリカとアジア太平洋でも投資拡大に前向きな企業が多い。ユーロ圏は33%にとどまった。
ドイツのエネルギー価格はロシアのウクライナ進攻とそれを受けた対露制裁で大幅に上昇した。現在はピーク時に比べ価格が低下しているものの、国際的にみると割高であることに変わりはない。トライヤー氏は「わが国の天然ガス価格はいまなお、米国の企業がプロセス熱に支払う水準の4~5倍に上っている」と指摘した。このほか、エネルギー供給不足懸念、専門人材不足、サプライチェーンの透明化を義務付ける法律など新規制の導入は国内投資のマイナス材料になっているという。