台湾積体電路製造―ドレスデンに欧州3社と合弁設立の方向―

半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)がドイツ東部のドレスデンに欧州同業3社と合弁工場を設立するもようだ。工場が設置されれば、欧州の半導体供給の安定に寄与する。補助金の獲得に向け現在、当局と交渉を行っている。ブルームバーグ通信など複数のメディアが報じた。

TSMCと独インフィニオン、ボッシュ、蘭NXPが欧州最大の半導体クラスターであるドレスデンに工場を建設する。投資額は70億ユーロで、最終的に最大100億ユーロに達する可能性もあるという。実際に投資するかどうかの最終決定は現時点で行われていない。

欧州連合(EU)加盟国と欧州議会は4月、域内での半導体製造拡大を支援する「欧州半導体法案」の内容で合意した。2030年までに官民で430億ユーロを投じ、開発拠点や生産設備の増強を後押し。有力メーカーの誘致にも力を入れ、アジアの依存度を下げて安定供給を確保する。世界の半導体生産に占める欧州のシェアを同年までに現在の2倍の20%に引き上げる目標だ。

台湾は世界最大の半導体産業の集積地。同国と中国の対立がエスカレートすると欧州の製造業も大きな影響を受けることから、ファウンドリー最大手のTSMCを欧州に招致する意義は大きい。

TSMCは米国と日本に工場を建設することをすでに決定している。ドレスデン工場の設置が決まれば同社初の欧州生産拠点となる。

同社は日本では、ソニー、デンソーと合弁で回路線幅22~28ナノメートル、および12~16ナノの半導体を製造する。『南ドイツ新聞』によると、ドイツでも欧州の実需を踏まえ、線幅が比較的広い22~28ナノ品を製造すると目されている。将来的には12ナノ品の生産も視野に入れているもようだ。

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