「対中投資に審査制度導入を」=経済相

ドイツのロベルト・ハーベック経済相(緑の党)は10日ベルリンで開催された独商工会議所連合会(DIHK)のイベントで、ドイツ企業の対中国投資に審査制度を導入すべきとの立場を表明した。技術やノウハウが中国に流出し、国内から失われることを防ぐ狙い。個人的な見解としている。オーラフ・ショルツ首相(社会民主党=SPD)は対中経済関係が大幅に悪化することを望んでいない。連立与党の自由民主党(FDP)も経済への国家介入に否定的であることから、ドイツが対外投資審査制度を導入する可能性は低いとみられる。

政府は第3国企業が自国企業に出資を行う場合、貿易法に基づく審査を行い、自国の安全保障などに悪影響が出る恐れがあると判断すれば禁止することができる。昨年11月には、半導体メーカー、エルモス・セミコンダクターのドルトムント工場を中国同業の賽微電子(サイ・マイクロエレクトロニクス)が完全買収する計画に拒否権を行使した。また、ハンブルク港トラーオルト・コンテナター埠頭(CTT)に中国遠洋海運集団(COSCO)が出資する計画は最終的に承認したものの、経営に影響力を行使できないよう厳しい条件を課した。

対中国投資でも政府保証の適用基準を厳格化しており、自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)が中国でのプロジェクトに絡んで申請していた国外投資保険の延長を昨年、却下した。

ただ、国外投資に拒否権を行使するという制限度の極めて高い措置はこれまで行ってこなかった。ハーベック氏は事の重大性を認識しており、国益を理由に政府が企業に禁止措置を発動することは「確かにある種の国家介入だ」と認めた。

米国は半導体や量子コンピューティングなどの最先端技術分野ですでに、自国企業の対中国投資を審査対象としている。欧州連合(EU)内にも同様の措置を求める論議がある。

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