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2012/1/25

経理の新情報

棚卸

この記事の要約

企業の製品や原料などの在庫の数量と帳簿上の数量が一致しているかを確認することは決算書を作成する上で重要な作業となります。実際にこれら棚卸資産は、資産ごとに在庫数量を数え上げ定期的に確認します。\ すべての資産価額の帳簿上 […]

企業の製品や原料などの在庫の数量と帳簿上の数量が一致しているかを確認することは決算書を作成する上で重要な作業となります。実際にこれら棚卸資産は、資産ごとに在庫数量を数え上げ定期的に確認します。

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すべての資産価額の帳簿上数量と実地棚卸数量が一致しているかどうかを確認するのは、非常にコストと時間を要します。そこでドイツ商法では、資産の中から何件かのサンプリングをとり、その中で数量一致の確認をとる方法が認められています(ドイツ商法第241条第1項)。さらに簡易方法として、集合資産(種類・品質・型の等しいものごと束ねられた資産)の概念を基に評価を行う方法(Gruppenbewertung)や一定の固定値(Festwert)を設定して評価する方法が認められています。

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棚卸実施

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その1 決算日棚卸

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棚卸は原則的に、決算日もしくは決算日の前後10日以内に実施しなければなりません。決算日と棚卸実施日間で発生した棚卸資産の変化は考慮され、調整されます。

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その2 決算日外棚卸

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決算日までの棚卸資産の評価調整が行われるのであれば、棚卸を決算日の3カ月前から決算日の2カ月後までの間に行うことも可能です。つまり棚卸実施日と決算日の間に発生した在庫高の変化を記録し考慮し、決算日の棚卸資産価額を算定いたします。

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その3 恒久棚卸(継続記録法)

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継続的に倉庫に保管されている在庫の数量・種類を常にデータ管理し、決算日の棚卸資産価額を確定する方法。この場合最低1年に1回の実地棚卸を行わなければならない。

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棚卸

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その1 棚卸表

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実際にすべての資産において物量管理が行われていることを証明するためにも、棚卸表は作成しなければなりません。その際棚卸資産管理は各部門ごとに行います(セールス部門、倉庫、製造工場、展示場など)。

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その2 補助材料・燃料など

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家具製造における接着剤などの補助材料もしくは設備の動力燃料などの棚卸資産においても資産管理が必要です。これらの棚卸評価は、通常適切な評価額が適用されます。実際に補助材料・燃料の資産額もしくは資産の変動額が大きい場合には、正確な物量管理が行われなければなりません。

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その3 半製品・仕掛品及び製品

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半製品・仕掛品及び製品などの棚卸資産の棚卸の際、実際にどのように資産評価が行われたかを明確に記述しなければなりません。既に製造原価の算出方法が記述された文書が別途ある場合は、それを付随することも可能です。つまりそれにより棚卸資産の製造原価の算出方法が常に確認でき、証明できなければなりません。半製品及び仕掛品には、製造過程ごとに分類し評価する必要があります。

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その4 未着品

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運送中などにより製品は手元にないが、その所有権の移転が行われていない場合、未着品は棚卸資産として計上しなければなりません。未着品が依然運送業者の倉庫に保管されている場合、その在庫管理表の提出を求めなければなりません。

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その5 コミッション契約

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コミッション契約における製品は、自社の製品として認識されませんので、棚卸資産として計上する必要はありません。自社の製品をコミッション契約で販売させる場合は、販売代理店などから製品リストの提出を求めなければなりません。

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