2013/9/23

産業・貿易

シンガポールとFTA締結で最終合意、ASEAN加盟国で初

この記事の要約

EUとシンガポールは20日、自由貿易協定(FTA)締結で最終合意に達した。物品貿易に加え、サービス貿易、非関税障壁、政府調達、知的財産権など幅広い分野を含む包括的な協定で、EUにとっては東南アジア諸国連合(ASEAN)加 […]

EUとシンガポールは20日、自由貿易協定(FTA)締結で最終合意に達した。物品貿易に加え、サービス貿易、非関税障壁、政府調達、知的財産権など幅広い分野を含む包括的な協定で、EUにとっては東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国と締結する初めてのFTAとなる。EU加盟国、欧州議会、シンガポール国内での批准手続きを経て、FTA発効は2014年末から15年初めになる見通しだ。

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EUは当初、ASEANとの包括的FTA締結を目指して07年に交渉を開始したが、協議が難航して2年後に断念。その後はASEAN加盟国との2国間協定に目標を切り替えて個別に交渉を進めている。シンガポールとは10年3月に交渉を開始し、昨年12月にFTA締結で基本合意していた。

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発表によると、EUは向こう5年間でシンガポールから輸入されるほぼすべての製品に対する関税を撤廃する。一方、シンガポール側はすでにほとんどのEU製品に対する関税を廃止しているため、FTAがEUからの輸出に与える影響は限定的だ。欧州委はFTA締結に伴い、今後10年間にシンガポールからEUへの輸出は約35億ユーロ、EUからシンガポールへの輸出は約14億ユーロ拡大すると予測している。

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一方、非関税障壁については電子機器、自動車、医療機器、環境技術などの分野で安全・品質基準を相互に承認し、輸出入時の検査を合理化することで合意した。これにより、EUの基準に適合した製品はシンガポールでも技術的変更や追加的な試験を受けることなく販売できるようになる。このほか、政府調達や金融・保険などサービス分野の自由化、農産物の原産地表示に関するルールの導入なども協定に盛り込まれた。

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欧州委によると、シンガポールはEUにとってASEAN最大の貿易相手国、EUはシンガポールにとってマレーシアに次ぐ貿易相手で、シンガポールはEU・ASEAN間貿易の3分の1、投資額では全体の60%を占めている。EU・シンガポール間の物品貿易は約518億ユーロ(12年)、サービス貿易は約277億ユーロ(11年)、相互の投資額は1,900億ユーロ(同)となっている。

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