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英メイ政権がEU離脱めぐり大揺れ、ジョンソン外相も辞任

2018年7月16日発行 No.207号

英国のメイ政権がEU離脱をめぐって大きく揺れている。ジョンソン外相は9日、首相がEUとの協調を優先する「ソフト・ブレグジット(穏健離脱)」路線を打ち出したことに抗議して辞任した。同国ではデービスEU離脱担当相が8日に同様の理由で辞任したばかり。重要閣僚の相次ぐ辞任により、与党内で離脱交渉の方針に関する不満が強まっていることが露呈した格好で、メイ首相は交渉期限が近づく中、厳しい政権運営を迫られそうだ。

英与党内ではEUからの独立を重視し、単一市場や関税同盟から離脱することを求める「ハード・ブレグジット(強硬離脱)」派と穏健離脱派がきっ抗しており、政府はEUとの将来の関係をめぐる交渉の明確な方針を打ち出せない状況が続いていた。しかし、今秋とされる交渉期限が迫る中、メイ首相はモノに限定した自由貿易圏をEUと創設するといった穏健離脱路線に舵を切る決断を下し、6日に内閣が同交渉方針で合意したと発表していた。

デービス離脱担当相とジョンソン外相は、強硬離脱を支持してきた人物。首相の決定はEUに屈するもので、英国が離脱後もEUのルールに縛られると批判し、相次いで辞意を表明した。

メイ首相はジョンソン外相の後任に、穏健離脱派のハント保健・社会福祉相を任命。デービス離脱担当相の後任には、強硬離脱派のドミニク・ラーブ住宅担当閣外相を起用した。

■交渉方針の「白書」発表

一方、英政府は12日、内閣合意に基づくEU離脱の交渉方針をまとめた「白書」を発表した。離脱後も工業製品や農産品の規格・基準に関してEUのルールに従うモノの自由貿易圏を創出することを柱とする内容。一方、EU域外の国と自由貿易協定(FTA)を締結し、自由な貿易の拡大を目指す方針で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を検討する。

モノ貿易では現状維持となる一方で、英経済の柱である金融サービスに関してはEU単一市場残留を放棄する。このため、英国の金融・証券会社などは、EU加盟国のうち1カ国で認可を取得すれば、域内全域で活動することができる「パスポート制度」を利用できなくなる。

同方針は離脱後もEUとの緊密な関係を維持することを主眼としているが、移民の受け入れは制限する。このため、EUが「いいとこ取り」として応じない可能性があり、停滞している離脱交渉が進展するか不透明な情勢だ。

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