原料の世界的な需要拡大に伴うガス・原油価格の上昇、主要輸出先であるロシアの景気高揚を追い風に、中央アジア諸国の経済回復が堅調だ。国際通貨基金(IMF)は先ごろコーカサス・中央アジアの経済見通しを発表し、この地域の2010年経済成長率が5~9%に達するとの観測を示した。
\IMFによると、中央アジアで最大の天然ガス産出国であるトルクメニスタンの経済成長は今年9.4%、来年は11.5%と非常に勢いがある。急成長の主要因は、パイプラインの爆発事故で中断していたロシアへのガス供給が再開し、中国への安定供給が2009年末のパイプライン開通で実現したことだ。最大経済国カザフスタンの経済成長は5.4%、ウズベキスタンとタジキスタンもそれぞれ8%、5.5%と堅調な成長を示す。同地域で唯一、キルギスが南部で勃発した民族衝突による政情不安から、3.5%のマイナス成長となるもよう。
\中央アジアの経済回復には政府の景気刺激策も貢献した。ただ、その結果カザフスタンのように債務が急増した国も多く、IMFは迅速な財政改善が必要であると指摘している。また、来年もインフレが過熱する危険は低いが、食糧輸入国には小麦価格の高騰などによるインフレリスクを警告している。
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