ロシアの新興財閥アルファグループを率いる大富豪ミハイル・フリードマン氏が、欧米の電気通信関連事業への投資を目的とする新しい投資ファンド、レターワンテクノロジー(L1テクノロジー)を設立した。8日付の英フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたところによると、新ファンドはインターネット関連企業や電気通信事業者への投資を通じ、新しいビジネスモデルを打ち立てるとしている。
新ファンドの資本規模は160億ドルで、ロンドンに拠点を置く。フリードマン氏が出資する投資会社「レターワン」グループの下に設立され、ロシア通信事業大手ヴィンペルコムの株式48%を保有する持ち株会社となる予定だ。ヴィンペルコムにはアルファグループのほか、複数のロシア人投資家が出資している。L1テクノロジーのレズニコヴィッチ最高経営責任者(CEO)は、新ファンドは負債を抱えていないことから今後借り入れによって250億ドルまで資金を拡大できるとしている。
投資先としては新たな資本を必要とする従来型の通信事業会社や、アプリやストリーミングサービスなどを提供するインターネット関連会社を想定する。取締役会メンバーにはスカイプの前取締役ルス・ショー氏や、ヴォーダフォン設立時の幹部ジュリアン・ホーン・スミス氏などインターネットや通信事業関連の著名な企業家が名を連ねる。
今回の新ファンド設立の背景にはレターワンの関連ファンド「レターワンエネルギー」が、先月取得したばかりの北海油田の権益売却を予定していることがあると見られている。同油田を巡っては、英国政府が対ロシア制裁に関連して同ファンドの北海油田関連資産を将来的に凍結する可能性を示唆していた。
レターワンは13年にフリードマン氏らによってアルファグループの対外資産を管理する目的で設立された。設立に際しては、同グループが出資していたロシアと英国の合弁石油会社TNK-BPの株式を同年に露石油最大手のロスネフチに売却した際の売却益の一部が充てられている。