独貯蓄銀行グループがコーポレートカラーの赤を商標権登録したことを不当としてスペインのサンタンデール銀行がその取り消しを求めていた係争で、ドイツの最高裁である連邦司法裁判所(BGH)は21日、サンタンデール勝訴を言い渡した連邦特許裁判所の判決を破棄し、貯蓄銀の商標権は有効だとの判決を下した。判決理由でBGHの裁判官は、色(特定の形を伴わない彩色)には性質上、識別性がなく原則として商標保護の対象とならないが、特定の色が特定の商品・サービスを公衆の大多数に連想させる場合はその限りでないとの判断を示した。今回の判決により、6年間に及んだ裁判はようやく終了した。
独貯蓄銀グループは赤(カラーチャートHKS-13)を1972年からコーポレートカラーとして利用。02年になって独特許庁に商標権登録を申請し、07年に承認された。
一方、サンタンデールも1980年代からほぼ同色の赤(HKS-14)をコーポレートカラーとして全世界で利用してきた。
独貯蓄銀グループは商標権の取得後、サンタンデールに対し赤をドイツ国内でコーポレートカラーに用いないよう要求して提訴。ハンブルク地方裁判所で勝訴した。
これに対しサンタンデールは、独貯蓄銀グループの商標権抹消を独特許庁に申請。これが却下されたため、連邦特許裁に提訴した。同特許裁はこれを受け、欧州司法裁判所(ECJ)の判断を仰いた。
ECJは14年の判決で、色に商標権が認められるかどうかは個々のケースにより異なると指摘。独貯蓄銀グループが商標権登録を行った02年時点で、赤が貯蓄銀のシンボルカラーとして金融分野で広く認知されていれば商標権は有効だとの認識を示した。
独連邦特許裁はこれを踏まえ昨年、02年時点で赤は貯蓄銀のシンボルカラーとして十分に認知されていなかったとして商標登録取り消しを命令した。
貯蓄銀はこれを不服として上告。BGHは、02年時点で赤が貯蓄銀のシンボルカラーとして認知されていたかは定かでないが、連邦特許裁が判決を下した15年の時点では認知されており、貯蓄銀の商標権は有効だと言い渡した。02年でなく15年時点の認知度を基準としている点はECJ判決と異なる。