2013/7/29

競争法

独医療保険制度の調査開始、製薬会社の割戻し免除めぐり

この記事の要約

欧州委員会は24日、ドイツの医療保険制度に関連したスキームが資金難に陥った製薬会社に対する実質的な国家補助にあたる可能性があるとして、本格調査を開始したと発表した。\ ドイツでは国民の9割が公的医療保険に加入しており、残 […]

欧州委員会は24日、ドイツの医療保険制度に関連したスキームが資金難に陥った製薬会社に対する実質的な国家補助にあたる可能性があるとして、本格調査を開始したと発表した。

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ドイツでは国民の9割が公的医療保険に加入しており、残り1割が民間保険に加入している。公的医療保険も財源は保険料収入で賄われており、補助金は拠出されていないが、政府は医療保険制度の安定的な運営を目的として、特定の処方薬を取り扱う製薬会社に対し、2010年8月~13年末の期限付きで、公的医療保険と民間保険会社への割戻しを義務付ける制度を導入した。ただし、「特別な理由」がある場合は割戻しの義務を免除するとの特例措置を設けている。

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欧州委はこの特例措置が資金難に陥った製薬会社に対する実質的な補助金にあたり、特定の企業に対する国家補助を厳しく制限したEUの規定に違反するなどと主張した、ある製薬会社の苦情を受けて予備的な調査に着手。その結果、割戻し義務を免除する特例措置に期限が設けられておらず、再建計画に基づいて適用する企業を選定しているわけでもないことから、同措置は「厳しい経営状況にある製薬会社に対する不当な国家補助にあたる可能性が高い」と指摘。特定の企業に対する公的支援の条件を定めたEUの指針に照らして、特例措置を適用する「特別な理由」が正当と認められるかどうか慎重に検証すると説明している。

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