ロシアが世界貿易機関(WTO)の脱退を検討しているという憶測に関し、WTOのアゼベド事務局長は3月24日、「そのような話は聞いていない」と否定した。
ロシアはウクライナ紛争をめぐって欧州との関係が悪化しているほか、WTO内でも協定違反の疑いで加盟国と争っている。また、国会議員の中に「WTOが経済に打撃を与えている」として脱退を求める声も出ている。
アゼベド事務局長は「公式・非公式を問わず、ロシアから脱退に関する通知は一切受けていない」と言明した。また、他の加盟国との間に摩さつがあることを確認したうえで、「ロシアは経済規模が大きく、その大きさ、重要性から言及される機会が多い。経済的に重要な国が、WTOの紛争処理機関に提訴されることは避けられない」との見方を示した。
ロシアは18年余りの交渉を経て、2012年にWTO加盟を果たした。(東欧経済ニュース3月4日号「EUがWTOにパネル設置要請、露との関税めぐる紛争で」を参照)