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2019/8/21

総合 - ドイツ経済ニュース

GDPが3四半期ぶりマイナスに、景気後退局面入りも

この記事の要約

景気が上向く兆しはないことから、GDPが第3四半期(7~9月)も減少してドイツが景気後退局面に入る可能性を排除できない状況だ。

第2四半期の建設投資が減少したのは、比較対象の第1四半期は暖冬で建設活動が活発だったため。

建設投資は減少したものの、投資全体では前期を上回ったことから、設備投資は増加したとみられる。

ドイツ連邦統計局が14日発表した2019年第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP、暫定値)は物価・季節要因・営業日数調整後の実質で前期を0.1%下回った。マイナス成長は3四半期ぶり。米国と中国の通商摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱、世界経済の減速が響いた。景気が上向く兆しはないことから、GDPが第3四半期(7~9月)も減少してドイツが景気後退局面に入る可能性を排除できない状況だ。

外需(輸出-輸入)がGDPの足を強く引っ張った。統計局によると、輸出の減少幅が輸入の減少幅を上回ったという。

内需はプラス成長を確保した。個人消費(民間最終消費支出)と政府最終消費支出が増加。建設投資は減少したものの、投資全体では前期を上回った。

独連邦銀行(中銀)が19日公開した月報によると、景気は特に製造業で低迷している。国外からの需要が落ち込んでいるためだ。

第2四半期の輸出は英国向けが特に大きく落ち込んだ。背景には同国の欧州連合(EU)離脱が当初、3月末に予定されていたことがある。

英国企業はこれを前提に、第1四半期(1~3月)に他のEU加盟国などからの輸入を増やして在庫を積み増した。新協定を締結せずに英国がEUを離脱すると通関手続きが再開され物流に支障が出ると予想されることから、原料や品不足を避けるために“買いだめ”を行ったのだ。第2四半期はその反動で英国の輸入が減少。ドイツの対英輸出の大幅減につながった。

第2四半期の建設投資が減少したのは、比較対象の第1四半期は暖冬で建設活動が活発だったため。

建設投資は減少したものの、投資全体では前期を上回ったことから、設備投資は増加したとみられる。ただ連銀は、製造業では輸出の減少と工場稼働率の低下、先行き見通しの悪化を背景に設備投資抑制の動きが広がっていると推測している。

連銀はまた、製造業で景気底入れの兆しが出ていないほか、製造業向けサービス業にも業績不振が広がっていることを指摘。GDPは第3四半期もやや縮小し、ドイツは景気後退局面(2四半期以上続くGDPの縮小)に入る可能性があるとの見方を示した。

統計局は今回、GDP統計の基準年を10年から15年へと改めるとともに、1991年までさかのぼってデータの見直しを実施した。この結果、多くの数値が改定されており、16年の成長率は2.2%から2.1%、17年は同2.5%から2.8%へと改められた。四半期ベースでも18年第4四半期(10~12月)が0.0%から0.2%へと引き上げられるなど修正が多数、加えられている。