整理社員への一時金、高齢者優遇で最高裁判決
経営上の理由で社員を整理する場合、雇用主と事業所委員会(従業員の代表機関)は社会的計画(Sozialplan)を共同作成し、該当する社員への一時金(Abfindung)支給額を決定する。この場合、高齢社員の一時金額を若い […]
経営上の理由で社員を整理する場合、雇用主と事業所委員会(従業員の代表機関)は社会的計画(Sozialplan)を共同作成し、該当する社員への一時金(Abfindung)支給額を決定する。この場合、高齢社員の一時金額を若い […]
従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動に必要な経費は雇用主が負担しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条1項に記された決まりである。しかし、何が必要な経費かということを
雇用主と被用者が結ぶ有期雇用契約は契約回数が複数にわたる場合でも合計の期間が最大2年に制限されている。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」14条2項第1文に明記されたルールで、雇用期間が計2年を
経営環境が大きく変化したり財務が悪化した場合、企業はしばしば組織再編を行う。何らかの手を打たなければ競争力が低下し、倒産する恐れもあるのだから当然だろう。しかし、組織再編に伴い整理解雇を行う場合は残留する社員に過度のしわ
刑法上の罪を犯した社員は有罪判決が下った時点で解雇できる。これは日本のルールである。ではドイツはどうかと言うと、ハードルがなかなか高い。ここでは雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)が3月24日に下した判決(訴訟
業務の遂行に当たって雇用主に損害をもたらした場合、軽過失は除き被用者は賠償責任を負う。これは最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が下した判決で基準が定められており、中度の過失の場合は通常、労使が痛みを分け合い、重過失の場合は
ドイツでは宛名書きに通常、性別を表わす「Herr(英語のMr.)」「Frau(同Mrs.)」を付ける。このため、男性であるにもかかわらず女性の宛名書きで手紙を受け取ることがある。特に外国人だと名前から性別を判断できないた
個人情報をコンピューターで取り扱う従業員20人以上の企業は個人情報保護管理者を任命しなければならない。これは連邦データ保護法(BDSG)4条f1項に明記された決まりである。 \ 同管理者には社員ないし外部の人材を投入でき
人員削減や会社清算に伴い被用者に生じる経済的な痛手を緩和するために、雇用主は事業所委員会(従業員の社内代表機関)と協議して社会的計画(Sozialplan)という名の整理協定を締結する。これについては先週号でお伝えした。
勤務先のパソコンを私的目的で利用することを認める企業や役所がある。これは被用者にとってはありがたいことだが、図に乗って仕事を放り出すようだと解雇を覚悟しなければならない。ここではニーダーザクセン州労働裁判所が昨年5月に下
雇用主の同意を受けてマイカーで営業中の社員が交通事故にあった場合、企業は損傷した車両の賠償責任を負う。だから仕事ではもっぱら社用車を使わせた方が良いのだが、そうも言っていられない企業やケースもある。 \ では、マイカーで
組織再編などに伴い人員削減を実施する場合、企業は対象となる社員の経済的な損失を緩和するための補償措置を取らねばならない。事業所委員会(従業員の社内代表機関)がある場合は、事業所委員会と交渉してそうした措置を取り決める。こ
被用者が労使契約に定められた業務を拒否した場合、雇用主は解雇できる。宗教上の理由による場合でもこの原則は変わらないが、解雇のハードルは高くなる。憲法で保障された信仰・良心の自由に関わるからである。ここでは最高裁の連邦労働
勤怠記録(出勤、退勤時間などの記録)に虚偽の時間を書き込み即時解雇された社員がその取り消しを求めて起こしていた裁判で、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所は昨年10月、原告の訴えを退ける判決(訴訟番号:6 Sa 2
現物給与は月44ユーロを超えない限り、所得税の課税対象とならない。これは所得税法8条2項第9文に規定された決まりである。だが、これまでは現物給与の条件が厳しく制限され、同ルールの恩恵にあずかることはほとんどできなかった。
社用車の私的利用を認めてきた社員を即時解雇した場合、会社は社用車をすみやかに返還するよう要求できる。雇用関係が解消されたのだから、これは当然だろう。では解雇を不服として社員が訴訟を起こした場合はどうなるのだろうか。判決が
労働契約違反の疑いのある社員を探偵を雇って内偵し、違反の事実が確認された場合、雇用主はその費用を問題の社員に負担させることができる。社員の違反行為が内偵コストを発生させた原因だからである。だが、この原則に基づいて社員に内
育児休暇は子供の出生後、最大3年間取得できる。これは育児手当・休暇法(BEEG)15条1項第1文に明記された決まりである。では、被用者が育休を例えば2年間と申請したあと、さらに1年間延長したい場合に雇用主の承諾を得る必要
経営上の理由で整理解雇を実施する場合、解雇の予告から実施までに一定以上の期間(解雇予告期間)を設けなければならない。「明日から来なくていいよ」がまかり通ると、被用者が著しく不利な立場に立たされるためだ。では、解雇予告期間
会社負担でMBA(経営学修士)の資格を取得した社員が、復職後間もなく退職するということが以前、日本で頻発し、大きな話題となった。会社側としては人材育成の一環として大金を投じるわけだから、費用の返還を求めるのは当然のことだ
有給休暇の申請を拒否されたにもかかわらず休暇を取得した被用者を雇用主は即時解雇(fristlose Kuendigung)できる。これについては雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)が1996年に下した判決(訴訟
ドイツの街にはネクタイ姿のビジネスマンが少ない――。この国に来たての日本人は大抵そう感じるようだ。なかには「ジーンズは国民服なのかと思った」という人もいる。 \ だが、すべての人がラフな格好をしているわけではない。ドレス
病気のために1年間まるまる仕事を休んだ被用者であっても、雇用主は病休期間中の年次有給休暇を保証しなければならない。例えば2010年1月1日~12月31日まで病休を取った被用者であっても、同年の有給休暇を病休明けに取得でき
共稼ぎ世帯が一般化したことを受けて、子供の育児や親の介護などでフルタイム勤務ができなくなる被用者が増えている。こうした場合、被用者は勤務時間の短縮を請求できる。これはパートタイム・有期雇用契約法(TzBfG)8条1項に明
ドイツは社用車大国である。乗用車を個人で所有するよりも会社から貸与された方が税制面で有利なため、多くの人が事実上のマイカーとして利用しているのだ。新車登録に占める社用車・公用車の割合は5割を超える。社用車需要がなければ、
年末などに任意の手当を3年連続無条件で支給すると、従業員や企業OBには4年目以降、手当受給の既得権が発生することは以前、このコラムで紹介した(2010年2月24日号)。既得権化を防ぐにはその意思を明確な表現で支給対象者に
ドイツ語能力の低い外国人労働者の解雇を妥当とする判決を最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が下したことについては、以前このコラムで紹介した(2010年2月3日号)。裁判官はその理由の1つとして、解雇された被用者に対し雇用主が
被用者としての義務を果たしていないとして即時解雇された港湾労働者がその取り消しを求めて起こしていた係争で、シュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所は10月26日、解雇無効の判決(訴訟番号:3 Sa 315/10)を言い
退職した社員が自身の人事関連情報を開示するよう要求して元勤務先の保険会社を提訴していた係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)は16日、原告勝訴を言い渡した(訴訟番号:9 AZR 573/09)。判決理由で裁判官は、被用
同僚に暴言を吐いただけでは解雇理由にならかい。これについてはすでに多くの判決が出ている。では、会社の対外的な信用や業績の低下につながりかねない取引先への暴言の場合はどうなるのであろうか。今回はこの問題をシュレスヴィヒ・ホ
営業法106条に雇用主の指示権(Weisungsrecht des Arbeitsgebers)という権利が明記されている。これは従業員がどう行動すべきかを「公正な裁量に基づいて(nach billigem Ermess
先週はこのコラムで新規採用に関する事業所委員会(従業員の利害を代表する企業内の機関)の共同決定権を取り上げた。今週は賃金の共同決定権について、このほど公開された連邦労働裁判所(BAG、最高裁)の判決に即してお伝えする。
年金支給開始年齢に達した従業員との雇用関係を自動的に解消することを認めたドイツの国内法および労使協定は欧州連合(EU)法違反の恐れがあるとして、ハンブルク労働裁判所が欧州司法裁判所の先行判決を仰いでいた係争で、欧州司法裁
労使協定に拘束されることを嫌って賃金協定から離脱する企業(OT企業。OTはOhne Tarifbindungの略)は少なくない。そうした企業は離脱時点で有効だった業界の賃金協定には縛られるものの、これに代わる新協定が発効
新入社員を採用する際に雇用主は通常、試用期間を設定する。試用期間中であれば理由のいかんを問わず雇用契約を解除できるが、期間を過ぎると解雇のハードルが高くなるという事情があるためだ。ドイツでは6カ月とすることが多い。では、
取締役の電子メールを閲覧して解雇されたことを不服として銀行のシステム管理者が解雇無効を訴えていた係争で、ケルン州労働裁判所は今年5月、解雇を妥当とする判決(訴訟番号:4 1257/09)を下した。このほど公開された判決文
被用者が病気で休業する場合、雇用主は最大6週間、賃金・給与を払い続けなければならない。これを「病休時の賃金継続支給義務(ドイツ語ではLohnfortzahlung im Krankheitsfallなどと表現)」と言う。
サラリーマン生活に転勤は付きものという考えは、日本であれば常識に属するだろう。だが、ドイツでは事情がかなり異なる。家族を中心とする交友関係が地域社会に張りめぐらされているため、転勤命令を喜んで受ける人は少ないのだ。 \
ドイツでは解雇の通告から発効までの期間(解雇予告期間=Kuendigungsfrist=)が民法622条に定められている。その期間は勤続年数に応じて異なり、最も短い人で4週間、同20年以上の人では7カ月に上る。解雇発効日
レジの中に大量の偽札があったことを理由に即時解雇された被用者がその取り消しを求めて起こした裁判で、第2審のハム州労働裁判所は8月26日、この訴えを退けた一審判決を支持し解雇を妥当とする判決(訴訟番号:17 Sa 537/
雇用などでの差別を禁止する一般平等待遇法(AGG)が施行されてから4年が経ち、同法をめぐる裁判の判例が増えてきたようだ。雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)はAGG関連の判決を19日に3件も下した。今回はこのう
ドイツには社員に社用車の私的利用を認めている企業が多い。社員は大抵、通勤や行楽なども含め自由に使うことができる。これは非金銭的な利益供与であり、給与の一部とみなされる。このため、退職・解雇などで会社を去る社員は社用車を返
病気で会社を休む場合、社員は通常、その旨をまず電話などで伝えたうえで、医師が発行した労働不能証明書(Arbeitsunfaehigkeitsbescheinigung、通称ゲルベシャイン)を後日、提出しなければならない。
働く女性の昇進が目に見えない壁に阻まれる、いわゆる「ガラスの天井」をめぐる裁判の控訴審判決を本誌は2008年12月3日号で取り上げた。ことのきは昇進差別があったとする原告女性の訴えが認められたが、このたび最高裁の連邦労働
従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動に必要な経費は雇用主が負担しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条1項に記された決まりである。同条2項にはさらに「事業所委員会の会
有給休暇の最中に病気になった場合、病気の期間は未消化の有給休暇として取り扱われ、被用者はその分を後日、取得できる。これは有給休暇法(BUrlG)9条に明記されたルールであり、被用者は医師が発行した労働不能証明書(通称ゲル
愛煙家がゆっくりくつろげる場所は着実に減っているようだ。バイエルン州で居酒屋における喫煙が8月から全面禁止されることが4日決まり、そうした感慨がおのずと湧いてきた。そこで今回は職場での喫煙をめぐる裁判を1つ取り上げてみた
ドイツの企業には従業員の利害を代表する事業所委員会(Betriebsrat)という組織がある。組織の性質上、労働組合と緊密な協力関係にあるが、労組が社外の組織であるのに対し、れっきとした会社内の1機関である点が大きく異な
社員に社用車を貸与する企業はその条件を早急に点検したほうがよさそうだ。雇用問題の最高裁である連邦労働裁判所(BAG)が労働契約の就業規則に定められた社用車貸与の取り消し条項を無効とする判決(訴訟番号:9 AZR 113/
1.3ユーロの横領を理由に即時解雇された大手スーパーKaiser’s Tengelmannの店員が起こしていた裁判の第2審判決を本誌は2009年3月4日号で取り上げた。このときは解雇妥当の判決が下されたが、原