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2010/6/30

ゲシェフトフューラーの豆知識

事業所委員の託児費、企業に負担義務のケースも

この記事の要約

ドイツの企業には従業員の利害を代表する事業所委員会(Betriebsrat)という組織がある。組織の性質上、労働組合と緊密な協力関係にあるが、労組が社外の組織であるのに対し、れっきとした会社内の1機関である点が大きく異な […]

ドイツの企業には従業員の利害を代表する事業所委員会(Betriebsrat)という組織がある。組織の性質上、労働組合と緊密な協力関係にあるが、労組が社外の組織であるのに対し、れっきとした会社内の1機関である点が大きく異なる。

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社内機関であるため、「その活動で生じる費用」は雇用主が負担しなければならない。事業所体制法(BetrVG)40条1項にはそう明記されている。

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では、事業所委員会の活動で生じるコストとは具体的に何を指すのだろうか。あるいは、雇用主が負担しなければならないコスト項目とそうでない項目の境界はどこで引かれるべきなのだろうか。こうした問題に関する係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が23日に判決(訴訟番号:7 ABR 103/08)を下したので、今回はこれをお伝えする。

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裁判を起こしたのは未成年の子供2人を育てるシングルマザーの事業所委員。彼女は事業所委員会の業務で計10日間、出張旅行をすることになった。これを受けて、すでに成人して仕事を持っている娘に2人の世話を依頼したところ、仕事を理由に断られたため、有料の託児サービスを利用。その費用600ユーロを事業所委員の活動で生じた費用として会社に支払いを請求したところ、会社側が拒否したため提訴した。

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原告は前審のニュルンベルク労働裁判所で敗訴したものの、最終審の連邦労裁では逆転勝訴を勝ち取った。裁判官は判決理由で、出張旅行という事業所委員の職務を基本法(憲法)6条2項に明記された未成年の子供の養育義務と両立させるには託児サービスを利用する以外に手だてがなかったと指摘。そのうえで、こうしたケースでは出張中の託児費用が事業所委員の活動で生じた費用に該当するとの判断を示した。

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